人間の味覚は情報に左右される
人間の味覚というものはけっこう鈍感な部分があります。
あるテレビ番組で、一流レストランのコース料理の中に市販のミートボールを混ぜて提供したらお客様にバレるのか? という実験を行っていました。
結果は、気づかないお客様が8割という衝撃的な内容でした。
この情報から分かるように人間とは雰囲気で食事の良し悪しを判断してしまう傾向が少なからずあります。
ということは、いくら美味しい料理を作っても雰囲気が悪ければその料理を台無しにしてしまう恐れもあるわけです。たとえば、料理に髪の毛が入っていたというだけで、美味しい料理が一部の人には一気に価値のないものに変わってしまいます。
人間の味覚は情報に左右されるものだから、料理の美味しさを食べる前にしっかりと伝えることができるかどうか。これがかなり重要になってきます。
そしてその情報を伝えるにはストーリー性のある情報をきちんと発信すること。それだけで来店確率、再来店確率が上がっていきます。
たとえばモンドセレクション金賞。このシールが貼ってあるだけでなんとなく美味しそうな気がして買ってしまう。こういった経験があなたにも一度や二度はあると思います。ファンを作るにはそういった商品価値を高める情報を発信していきましょう。
帝国ホテルのコーヒーが2000円で通用する理由
東京・帝国ホテルのロビーでコーヒーをいただく。1杯2000円のコーヒーをあなたは高いと思いますか? 金額的には高いと思っても帝国ホテルならそのくらいするよね、そう思いませんか?
では街中の喫茶店で1杯2000円のコーヒーはどうでしょう? おそらく高いと感じると思います。では両者の違いに何があるのでしょうか?
コーヒー1杯の原価は20円程度といわれています。いくら帝国ホテルが高級ホテルだといってもコーヒーの原価が何倍にもなるわけではありません。
その違いをひと言で表すとブランド力です。
帝国ホテルには帝国ホテルというブランドの力があります。そしてその力が1杯のコーヒーの価値を2000円まで高めてくれるという話です。
同じように京都の仏閣には2000円程度で庭園を見ながら抹茶がいただける喫茶が提供されています。僕は庭園を見ながらゆっくりと過ごすのが好きなので、そういった場所を見つけるとテンションが上がります。
人間は枠で物事を考えるところがありますので、その枠に付加価値をつけてブランド化することで金額を大幅に上げることが可能です。たとえば、大体こういう場所はこのぐらいの価格はするよねの感覚で価格は決まってしまうんです。
また、知り合いのビジネスマンは社外の人との外での打ち合わせは、一流とまではいかないまでもそこそこのクラスのホテル内のカフェで行うといいます。
ホテル内のカフェは席と席の間隔が十分広くとられていて、隣の席の人の会話内容がほとんど聞こえません。こちらの会話も、隣の席の人たちには聞こえません。
だから、他人にあまり聞かれたくない大事な話を安心してすることができるんだそうです。
隣の席との間隔が狭いスターバックスやドトール、ルノアールではこうはいきません。
ここにもコーヒー代2000円が決して高くない理由があります。