得意を伸ばせば苦手も伸び、全体の能力は伸びる

皆さんは、勉強ができていないところをできるようにする方が人は伸びると思っていないでしょうか? しかし、実は得意なこと、できることに注目して、そこを伸ばした方が、全体的に能力は伸びるという研究結果が出ています。これをポジティブアプローチといいます。

しかし、これは言うは易く行うは難し。なぜなら、人はできていないところに注目してしまう習性があるからです。これをネガティビティバイアスといいます。そのため、親はあえてできているところを見つけようという目を持たないと見つけられないのです。

このケースでも母親は娘が得意な国語や社会はできているからスルーしてしまい、できない算数の点数にばかり目がいってしまい、弱点克服にエネルギーを注いでいました。しかし、できないところを指摘されればされるほど、やる気をなくすという悪循環になっていたのです。

そもそも「子供のやる気問題」は、受験に限らず子育ての悩み相談で必ず出てくるテーマです。受験生の場合、やる気が出ない理由として、次のようなことが考えられます。

A.学力と課題のレベルがあっていない。
B.エネルギーが消耗している。
C.本人は、なぜ受験するのかがわからず、言われたからやっている。

Aの学力と課題のレベルがあっていないというのは、前述のケースです。人は、与えられた課題が難しすぎてもやる気はなくなるし、反対にやさしすぎても退屈になってやる気は起きません。やる気が起きるのは、ちょっと頑張ったらできそうと思えるレベルの課題に取り組んでいる時。「今できることの10%上を目標にするといい」といわれています。

例えば、サッカーボールのリフティングができるようになりたいという場合、10回できるようになると「次は20回だね!」と言ってしまいがちですが、それだとなかなか達成できなくてやる気が落ちてしまう。だから、10%上の11回を目標にするのです。

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そんなスモールステップと思うかもしれませんが、ちょっと頑張ればできそうと思えて、実際にすぐに達成できる目標を立てることで自己肯定感も上がり、やる気もキープできます。勉強も同じで、前回のテストが50点なら55点。そのためにどんな勉強が必要かを考えて計画を立て勉強することで、結果的に60点、70点と取れるようにしていくのが遠回りのようで近道です。今、子供がこなしている課題が、難しすぎるなら、塾に課題の見直しを相談してみるといいかもしれません。

Bのエネルギーが消耗しているのが理由なら、身体をうんと労ってあげることです。睡眠は取れているか。休息は取れているか。栄養摂取しているか。子供の様子をよく観察して、無理をしているようなら、生活を見直す。調子が悪い時には、思い切って塾をお休みするのもありです。