入院時の「差額ベッド代」実は拒否できる場合も

入院時の個室料金を「差額ベッド代」と言う。大部屋に入院した場合の費用との差額のことだ。

差額ベッド代は、病院ごとに料金が決まっている。1日10万円という病院もある。

差額ベッド代の正式名称は「特別療養環境室料」という。

差額ベッド代は、「個室を利用した時だけ」ではない。次の病室は個室ではないが、「特別療養環境室」とみなされ、差額ベッド代が発生する。

・病室の病床数(ベッド数)が4床以下
・病室の1人あたり面積が6.4平方メートル以上
・各病床にプライバシーを確保する設備がある
・特別の療養環境として適切な設備を有する

この「差額ベッド代」の請求だが、実は次の3つの場合は支払いを拒否できる。

写真=iStock.com/onurdongel
「差額ベッド代」の支払いを拒否できることも(※写真はイメージです)

1.病院から同意書による確認がないのに、個室に入院した場合
同意書は必須で、これなしでは個室に同意したことにならない。したがって、個室料金の請求はできない。
また、同意書にサインしていても、説明が不十分だった場合も、支払いは不要。

2.治療上、個室への入院が必須だった場合
たとえば「救急または手術後の患者で、病状が重く、常に監視が必要」「免疫力低下により感染症にかかるおそれがある」――これらの理由がある場合は、個室代を支払う必要はない。

3.病院側の都合により個室に入院した場合
「院内感染を避けるために個室に隔離」など、病院側の都合で個室に入院した場合も支払いは不要。注文していないのに高い料理を出されて、高い料金を請求されても、普通は払う必要はないのと同じことだ。
万一、病院が執拗しつように請求してきても、あわててはいけない。請求を引っ込めない場合は、都道府県の相談窓口に連絡する、と伝えよう。行政に決着をつけてもらうしかない。