「1年間で4回目以降」は自己負担限度額が下がる

治療の長期化などで、直近1年間で3回、高額療養費の支給対象となった場合、4回目以降は、自己負担限度額がさらに下がる。

4回目以降は定額となり、区分ウ(年収約370万円~約770万円)、区分エ(年収約370万円以下)のゾーンの人は、月4万4000円、住民税非課税者は2万4600円となる。

なお、保険者が変わると(たとえば、健康保険組合から国民健康保険に変わるなど)、前の保険者の分は、月数に通算されない。

「年金があと数万円安ければ入院できた」ケースも

定年退職者Bさん(69)は、心臓手術をした。560万円の医療費に対し、支払った額は約133万円だった。Bさんには区分ウ(年収約370~770万円)に該当する収入があったからだ。

中町敏矢『月14万円の年金で夫婦が生活している術』(ぱる出版)
中町敏矢『月14万円の年金で夫婦が生活している術』(ぱる出版)

この場合、70歳を超えても「高齢者優遇」は受けられない。同じ手術を受けても、最低ゾーンの非課税者なら3.5万円ですむ。

肝臓病の独身男性Cさん(64歳)の年金は月約13万円。病院から入院をすすめられ、月約8万円を提示された。「高すぎて払えない」とCさんは入院しなかった。

ただ、Cさんの年収は、区分エ(年収370万円以下)に属していたので、月の自己負担限度額は5万7600円。これに諸経費を足し、月約8万円になる計算だった。

年金があと数万円少なければ、Cさんは非課税者となり、入院できたのである。

【関連記事】
【第1回】世界一高い「葬儀費用」が完全無料で、手間もゼロ…直葬よりずっと安い「献体」という終活の奥の手
75歳まで我慢すれば84%増になるが…お金のプロがあえて「66歳から年金受給」をオススメする理由
「仕事やお金を失ってもやめられない」性欲の強さと関係なく発症する"セックス依存症"の怖さ
働けるはずの200万人が働いていない…日本経済の人手不足を悪化させる「雇用調整助成金」という大問題
「ねんきん定期便」を見ればわかる…厚労省がひた隠しにする厚生年金"支払い損"のカラクリ