日本学園が明大世田谷に。偏差値急騰、志願者激増
たとえば、かつて横浜山手女子(神奈川県横浜市/女子校)という中高が横浜市中区山手町にありました。この学校は2009年に中央大学との合併協定書に調印し、翌年には中央大学の系属校として中央大学横浜山手に名称変更しています。
さらに、2012年を皮切りに中学一年生から段階的に共学化を進め(2016年に中高完全共学化を果たしています)、2013年にはキャンパスを横浜市都筑区に移転、学校の名を再び改称して「中央大学附属横浜」としました。
青山学院大学は2014年に横浜英和女学院(神奈川県横浜市/女子校)を系属校化し、2018年度より共学化しました。その名は「青山学院横浜英和」。そして、2018年には浦和ルーテル学院(埼玉県さいたま市/共学校)を系属校化する協定を締結し、2019年度より「青山学院大学系属浦和ルーテル学院」に校名変更しました。
東洋大学は2011年に京北(東京都文京区/男子校)を統合し、グループ校に組み入れました。2015年より校名を「東洋大学京北」とし、共学化を果たしています。
全国に数多くの付属校を抱える日本大学もその例外ではありません。2017年に日出(東京都目黒区/共学校)と準付属契約を結び、2019年より「目黒日本大学」と校名を変えています。
武蔵野大学は2016年に千代田女学園(東京都千代田区/女子校)と法人合併し、2018年度より共学化、中学校名を「千代田国際中学校」、高校名を「武蔵野大学附属千代田高等学院」としています。
そして、いま、ある学校が注目を浴びています。
日本学園(東京都世田谷区/男子校)という学校です。1885年に創立された伝統ある男子校であり、この学び舎で過ごした著名人は枚挙に暇がありません。たとえば、元首相の吉田茂、作家の永井荷風、画家の横山大観、岩波書店創業者の岩波茂雄などが同学園のOBです。
その日本学園が2022年に入って、明治大学と系列校連携に関する協定を締結したのです。これによって、日本学園は2026年より明治大学の系列校となり、同時に学校名が「明治大学付属世田谷」に変わります。そして、この系列校化と同時に男子校から男女共学校へと踏み切ることが決まっています。
2023年度入学の日本学園の生徒は2026年度より改称される明治大学付属世田谷の第1期生となり、同校HP上では「卒業生のおよそ7割(約200人)以上が、明治大学へ推薦入学試験によって進学できる教育体制の構築を目指します」と発表しています。そのため、日本学園の偏差値は昨年度の40台から12月時点で56・58・60(いずれも首都圏模試センター合格率80%基準偏差値/日程はそれぞれ2月1日午前・2月4日午前・2月5日午前)に上昇しているのです。
なお、4大模試(四谷大塚・日能研・SAPIX・首都圏模試それぞれの10月実施データ)の日本学園への入試3回分の志願者動向を見ると、昨年度は合計28人であったのに対し、今年度は何と1111人であり、昨年度比で約40倍の志願者を集めています。
この日本学園の注目度の高さからしても、今後もこのように大学と中高が合併するケースはいくつも出てくるに違いないでしょうし、系列校化まではいかなくとも、大学側が私立中高とつながりを持つケースがどんどん登場してくるのでしょう。
たとえば、2022年9月には三輪田学園(東京都千代田区/女子校)と法政大学が高大連携拡充についてのニュースリリースを発表しました。それによると、三輪田学園から法政大学進学への「協定校推薦枠」を約30人を設けるけとともに、三輪田学園の高校生が法政大学の授業の早期履修を可能にする制度を導入するそうです。