問題2:東工大の面接官は女子高生の科学的資質を見抜けるか:STAP騒動の教訓

東工大HPでは、例えば、「物質理工コース」の女子枠入試では「面接で科学的な知識及び考え方について試問し、考察力・表現力とともに物質についての科学技術を学ぶうえでの適性を評価する」としているが、そもそも「数学・物理の知識や適性」は面接で点数化できるのか。

11月26日、帝京大学の教授からの不適切メールがアカハラ疑いとして報道された。同大学に通う男子学生が「ゼミに入りたい」と問い合わせをしたら、担当する男性教授から名前で女子学生だと勘違いされ、「男子にはないしょですが、女子は基本的には応募=採用です。サンドイッチにコーヒーでも飲みながら、お話ししましょう」と教授からメールで返信されたそうである。中高年男性が若い女性に甘いことはあるのだろうが、それをゼミ選抜や入試に持ち込んでいいはずがない。アカハラとして処分されても仕方がないだろう。

東工大といえば、「(高偏差値なのに)モテない大学」というのが大学界隈では定説になっている。昭和時代の東工大はほとんど男子校のようなもので、現在の教授会メンバーも若い女性とのコミュニケーション経験が豊富ではないかもしれない。

そこへ、受験した女子高生が面接で「私、宇宙工学に憧れてますぅ~」などと無邪気に返答するだけで、女性への免疫に乏しい東工大教官が高得点を思わず付けてしまって合格になり、入学後に「全く物理の教科書を理解していない」ことに気付いても後の祭りである。

振り返ってみれば、2014年に理化学研究所で起きたSTAP騒動は、そもそも副センター長が女性研究者を「豊かな発想力がある」などと思い込んで強引に採用したことが発端のひとつになった。過去論文の精査や、「英語によるセミナー」など、同研究所における通常の手順を踏んで採用を吟味すれば防げた事件だったと、後に報告されている。おせっかいは承知だが、この手の二の舞は防いでいただきたいものだ。

問題3:「女子枠=男性差別」だけでなく、「老人が若者を搾取」

今回の女子枠に対する意見はさまざまだが、ネガティブな意見の代表としては「女性枠は、男性差別だ」がある。実際、今回の女子枠導入によって一般枠が減ったので、多くを占める男性受験生にとっては「狭き門」となったことは事実だ。

私はこれに加えて、世代間格差も指摘したい。

今回の東工大女子枠に関して、一部には「東工大の教授たち(管理職・ほぼ高齢男性)が、将来有望な男性枠を削って、無理やり女性枠を作り、自分たちは何も失わずに女性活躍の場を作ったという手柄を手にするのではないか」と揶揄やゆする声も出ている。確かに、これは「国債を発行して負担を将来世代に先送りし、医療年金を維持」のような、若者搾取政策と言えなくもない。

東京工業大学が総合型・学校推薦型選抜で143人の「女子枠」を導入 ダイバーシティ&インクルージョンの推進を目指して2024年度入試から順次実施「東京工業大学 高校生・受験生向けサイト」より