「消費減税は間違い」発言前後の文脈

枝野氏は一定の財政規律の必要性を語りつつ「ただし、消費増税については反対です」「今、絶対やってはいけないと思っています」と主張した。理由として枝野氏は、政府による税金の取り方や使い方への不公平が広がっている現状で消費増税をすれば「政府や税に対する信頼がますます落ちる」ことを挙げた。

確かに、安倍政権以来の税金の「私物化」とも言える使い方を見ていれば、国民の納税意欲が落ちるのは当然だろう。だから「消費税など払いたくない」という心情は、筆者も深く理解はする。

財政規律は大事だが、消費増税はしない。ではどうするのか。枝野氏はこう続けた。

「所得税や法人税を下げすぎてしまった。税収を増やすなら、まずは富裕層に対する所得税と、儲かっている大企業に対する法人税、ここの増税で財源を確保することがまず第一です」
「次は金融所得課税です。働いて稼いだ給与所得や事業所得に対しては、累進課税でどんどん税率が上がっていくのに、株などの金融で儲けたお金は、どんなに稼ごうと20%で定率。これを最終的には総合課税にして、株で何十億も儲けた人には最高税率で税金を払ってもらう。これを全部やった上でなければ、消費税率を上げるなんて議論は、絶対にしてはいけない」

えだのんTALK Vol.9」(枝野幸男公式YouTube)より

「消費増税は反対」という主張の中で出た発言だった

「消費増税はやるべきではない」というメインの主張をする中で、枝野氏は自身が昨秋の衆院選で「時限的な消費減税」に触れたことについても「政治的に間違いだった」と述べた。配信で枝野氏が語ったことを整理すると、おおむねこういうことになる。

立憲民主党は自己責任を求める新自由主義的な社会ではなく、お互いさまに支え合う社会をつくることを求めてきた。それが自公政権との対立軸である。

支え合う社会をつくるためには公的サービスの充実が求められ、そのためには財源が必要だ。にもかかわらず「支え合いの社会」をうたう政党が安易に減税を言えば、「自己責任の社会」と「支え合いの社会」の「どっちに向かっているのか分からなくなる」(枝野氏)。

枝野氏は最後に「二度と減税『も』言わない」と表現した。消費税については「当面増税『も』減税『も』主張しない」という意味に受け取るのが普通だろう。