立憲民主党の枝野幸男元代表が「消費減税は間違いだった」と述べたことが「他の野党への裏切りだ」と波紋を広げている。ジャーナリストの尾中香尚里さんは「なぜ『消費税』という言葉に条件反射してしまうのか。枝野発言のポイントは消費税ではない」という――。(前編/全2回)
批判が噴出した枝野氏の「消費減税は間違い」発言
立憲民主党の枝野幸男前代表による消費税をめぐる発言が、またぞろ「問題化」している。昨秋の衆院選で消費減税を訴えたことを「間違いだった」と述べたことに、外野の批判が噴出しているのだ。代表として掲げた公約を覆すのか。有権者への裏切りではないか――。しまいには「枝野新党結成の臆測」などという見出しの記事まで出る始末である。
ああ、またか。もうため息しか出ない。枝野氏ではなく、この手の発言に対する政界のこの反応に、である。与野党の政治家もそれぞれの支持者も、いったいいつまで「消費税反対」を旗印に選挙を戦う「平成の政治」を引きずり続けるのだろうか。
あまり元号でものを語りたくはないが、時代は令和である。置いていかなければならない「平成の政治」はたくさんあるが、消費税はその最たるものだと筆者は考えている。
もういい加減、こんな時代を終わらせよう。「消費税」で選挙を戦う平成の政治からの脱却を、今こそ真剣に考えるべき時ではないか。
本題に入る前に、枝野氏が最初にこの発言を行った場面を、冷静に振り返ってみたい。
発言が飛び出したのは10月28日だった。枝野氏は自らのYouTubeチャンネルで、ほぼ月1回のペースで「えだのんTALK」という番組を生配信している。ラジオのパーソナリティーよろしく、政治から趣味のアイドル話に至るまで一人語りするスタイル。事前に募集した視聴者の質問にも答えている。
寄せられた質問の一つに、枝野氏がかつて「財政規律は必要」と語ったことへの真意を問うものがあった。例の発言はこの回答の中で触れられた。