Q 「これだけは叱ったこと」は何ですか

●佐藤家

字を丁寧に書かなかったときは、きつく叱りました。小学校の高学年になると、手慣れてきちゃって「続け字」にしちゃうんですよね。「ダメでしょ!」と、消して書き直しさせました。

特に、中学受験の勉強は、速く解くことが第一になり、丁寧さは二の次になってしまう。でも、試験問題の答案こそ、丁寧に書くことが大事ですよね。試験官の先生に内容が伝わらなければせっかく正解していてもペケですから。ただ、丁寧でもゆっくり書いていては問題をこなせません。「速く丁寧に」、ダブルタスクでさせました。

もう一つ叱っていたことは、物を投げること。リビングで4人が一緒に勉強していたので、「消しゴムちょうだい」とか「定規貸して」の後、投げて渡すんです。物によっては当たるとケガをしますから。

●河村家

叱る前に、子供と約束事を決めていました。例えば、長男と次男は、ものすごく激しいきょうだいゲンカをしていましたが、「ケンカの際、武器は使わないこと」を決めていました。歯や爪も武器とみなして、これもダメ。

だから、きょうだいゲンカをしていても、その約束を守っている間、私はまったく関与しません。ケンカをして、壁に穴をあけたこともありましたが、それも見ているだけ。叱っても穴は埋まりませんしね(笑)。

ただし、約束を破ったときは、「あ、今武器を使ったね。この手が武器を使ったのだから、手を叩くね」と言ってパチッと。噛みついたときは、ほっぺをギュッと。叱るのではなく、罰則がある、という感じです。

●たかせ家

交通ルールを守らないなど命に関わるとき、遊びでケガをしそうになったときは厳しく叱りました。

次男は2歳上の長男のマネをよくしていました。お兄ちゃんが高いところからジャンプすると、同じことをします。小さい頃の2歳差って、運動能力や体力はかなり違いますから、危ないんですよね。小さい子が一緒にいるときの遊びについては、よく注意していました。

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あと、兄弟ゲンカについては高校生の頃のことですが、兄弟二人で入っていたお風呂場が一面、血の海になったことがあります。ちょっとしたいさかいがあったらしく、長男が次男を殴っちゃったんです。それが勢いあまって次男の鼻に当たり、鼻血がドバっと(笑)。

長男が慌てて、真剣に「ごめん、ごめん」と謝っていましたが、子供の頃の喧嘩と違い、高校生は力もかなり付いています。長男は次男を怪我させた自分のパワーに驚いていたようでした。私も最初は驚きましたが、兄弟喧嘩ができる環境は「兄弟の衝突によって互いに力加減を学んだり、双方の考えの違いを知ることができるので、とても大切なことだな」とむしろありがたく感じております。

Q 子供が「頑張った」ときどう褒めましたか

●佐藤家

子供の成績が上がったとき、頑張ったときは、サラッと褒めました。うんと褒めると、ほかの子が同じ状況になったとき、ややこしいことになるのです。親だって、いつも同じ精神状態ではないでしょ。気分のいいときも悪いときもある。同じような結果を出したのに、私の気分で褒め方が違うと、その子に悪いですから。だから、どんなときも「サラッと」。

結果がいいときは親がうんと褒めて、悪いときは親がシュンとなるのでは、親が喜ぶから頑張るようになります。親とは関係なく、自分のために頑張れる子であってほしいと思いました。

●河村家

頑張ったとき、目標を達成したときは、「お母さん、嬉しい」と、私の気持ちを伝えました。マラソン大会で去年よりタイムが縮んだとか、前より順位が上がったとか。

ただ、人と比べることはしません。誰かに勝ったとか、何番以内に入ったとか、そういうことでは褒めませんでしたね。これはかなり意識していました。

小学生時代に人と比べることをすり込んでしまうと、一生辛いと思うんですよね。「誰かに勝つ」のではなく、「自分が立てた目標に向かって努力する」ようになってほしいと思っています。

●たかせ家

息子たちが通っていた小学校には、「筆算検定」(校内)や「漢字検定」など、みんなで取り組む“頑張らせる仕組み”がありました。いずれも、頑張った分、成果がしっかり出るので、やりがいもあったようです。

級が上がったときは、嬉しそうに報告してくるので、めちゃくちゃ褒めました。髪の毛がぐちゃぐちゃになるくらいに頭をなでたり。とにかく、大げさに褒めました。

子供って、お母さんに褒めてもらいたい、お母さんの笑顔が見たいから頑張れると思うんです。それに応える意味で、うんと褒めました。