しかし、その真価が発揮されたのは営業である。いくつかの営業部では、名刺情報に営業日報的な情報を加える機能が活用されている。
たとえばA社に営業をかけようとするとき、いままでは「A社にアプローチしたいけれど、誰か知らない?」と周囲に聞くくらいしかできなかった。「知らない」と答えられればそれまでだし、「あとで名刺を探しておく」という返事しかもらえないこともある。これではビジネスの機会を逸してしまいかねない。
「でも、リンクナレッジで検索すれば、過去に自社の誰が相手先の誰と会って結果はどうだったという情報が得られます。それを基に営業方針を決めることもできるし、入力した同僚に詳しい話を聞くこともできる。もし、複数の営業マンが営業をかけて結果が出ていないことがわかったら、それぞれの商材を組み合わせて提案することも考えられます」
使い込むうちに、加藤さんは「部署の壁を越えて情報を共有すれば、情報にレバレッジがかかって価値が高まる」と感じている。
「最近は、部署間の連携の必要性が増しています。たとえば、以前は自動車を扱う部署は自動車だけ、電気プラント部署は電気プラントだけでしたが、『電気自動車』というくくりで両部署が関わるようになった」
そんな中、名刺情報共有化の価値はますます高まっていく。「総花的な力」ではなく、各部署の「総合力」で勝負するのが総合商社の強みだと語る加藤さん。それを磨くツールの一つとして期待をかけている。