食物繊維がもつ3つのスーパーパワー

食物繊維には3つのすばらしい力がある。

第1に、デンプンをグルコース分子に分解する酵素、α-アミラーゼの活動を抑える。第2に、胃内容排出速度を遅くする。食物繊維があると、食物がゆっくりとシンクから排水管に流れるようになるからだ。最後に、小腸内に粘着性のある網をつくる。この網はグルコースが血流に入るのを妨げる。

このようにして、食物繊維はシンクに入ったグルコースの「分解」と「吸収」の速度を落とし、血糖値曲線を平坦にする。デンプンと糖は、食物繊維の後に食べると、体に及ぼす影響が小さくなる。食べる喜びは変わらないままで、害を減らせるのだ。

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次はタンパク質と脂肪だ。タンパク質は肉、魚、卵、乳製品、ナッツ、豆などに含まれている。タンパク質を含む食品には脂肪も含まれていることが多い。またバター、油、アボカドには脂肪のほうが多く含まれている(ちなみに、脂肪にはよい脂肪と悪い脂肪がある。悪い脂肪は避けたほうがいい。悪い脂肪が含まれているのは、菜種油、コーン油、綿実油、大豆油、紅花油、ひまわり油、ブドウ種子油、米油など、水素化された調理用精製油だ)。

脂肪を含む食品も胃内容排出の速度を落とすので、炭水化物の後より、前に食べるほうが、血糖値曲線を平坦にするのに役立つ。つまり、ほかのものをぜんぶ食べた後で、炭水化物を食べるのがベストだ。

空腹を知らせるホルモンの分泌にも違いが出る

グルコースが血流に入る速度が遅くなるほど、血糖値曲線は平坦になり、気分もよくなる。まったく同じものを食べても大丈夫。ただ炭水化物を最後に食べれば、心身の健康に大きな違いをもたらすことができる。

そのうえ、正しい順番で食べると、すい臓がつくるインスリンの量も減る。そして、インスリンが少なければ、すばやく脂肪燃焼モードに戻ることができ、さまざまなプラス効果が生まれる。体重減少もそのひとつだ。

減量のためにこのテクニックをためした57歳のバーナデットは、血糖値スパイクが小さくなり、血糖値の下がり方がゆるやかになった。午後の空腹感や疲労感もなくなった。ジェットコースターがゆっくりと止まったのだ。

空腹感の改善については科学的に説明できる。コーネル大学の研究チームによれば、よくない順番で(デンプンや糖を最初に)食べると、空腹を知らせるホルモンの「グレリン」が、わずか2時間後に食前の値に戻るという。しかし、正しい順番で(デンプンや糖を最後に)食べると、グレリンは長時間抑えられる(研究チームは3時間後までしか測定しなかったが、その推移から、5~6時間抑えられると考えていいだろう)。