第3の能力「金融ケイパビリティ」とは?

これからの物価高の時代、ひいては人生100年時代のライフプランを乗り切るために、さらにもうひとつ知っておきたい第3の金融系のスキルが「金融ケイパビリティ」である。

ケイパビリティは「能力」や「才能」といった意味だが、ここでは外部リソースの活用という観点で用いている。

例えば、最近では、家計管理もスマートフォンのアプリで簡単にできる、口座間の資金移動や送金、資産運用やポイ活もスマホ1台あれば事足りる。AIやテクノロジーなど便利なデジタルデバイスを活用することで、効率的に物事を進められる。

また、多くの投資家が実践している「つみたてNISA」や「iDeCo」などの税制優遇制度。あるいは、高齢になり認知機能が低下した場合の「成年後見制度」、「家族信託」などの制度の活用も金融ケイパビリティのひとつだと言える。さらに筆者のようなファイナンシャルプランナーや、税理士、社労士、行政書士といった専門家のアドバイスも然りである。

コロナの感染拡大やそれに伴う物価高、ロシアのウクライナ侵攻や世界情勢への不安、円安など、最近のニュースといえば暗い話題ばかりで、多くの人はつらい、苦しい話はもうたくさんと感じていることだろう。それでも生きている限り、人生は続く。

相談に来る方は、家計が苦しい人ばかりではない。なかには、家計に余裕があるにもかかわらず、質素倹約を肝に銘じ懸命に節約に励む人もいる。そんな方には、どれだけ余裕があるのか、安心して使える額を試算した上で、計画的に使うことをお勧めしている。

黒田尚子『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』(日本経済新聞出版)

また、75歳以上の医療負担が2割になるからと、高齢な親の医療費を心配して駆け込んできた相談者には、配慮措置で単純に2倍になるわけではないこと。現在の通院等の状況で増える予想額を提示し、医療費以外の支出を抑えることで、十分対応可能であることをアドバイスするとほっと安心した様子だった。

ネット情報は便利だし、無料ですぐに入手できるが、あくまでも不特定多数に発信されており、エビデンスが確立されたものばかりではない。

FPという仕事柄、さまざまな専門家の知り合いやネットワークがあり、わからないことがあればすぐに相談する。自身が専門家だけに、専門的知見の有益性は骨身に沁みている。みなさんも、自分のニーズや価値観に合った気軽に相談できる専門家をぜひ探して活用していただきたい。

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