消費者の物価高の体感は「10%」と現実と大きく乖離

年明け以降、このような状況がずっと続いているわけだが、実際のところ「物価が上がった」「暮らし向きが悪くなった」と感じている人はどれくらいいるのだろうか。

2022年10月13日に発表された日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」によると、現在の物価に対する実感(1年前対比)は、「上がった」と回答した人が9割以上。しかも、3月、6月の調査と比べると、「かなり上がった」と回答した人が急増している(図表1)。

また、1年前に比べ、物価が何%程度変化したかという具体的な数値については、平均で「10.3%」と回答。実際の3%(総務省「消費者物価指数/全国/2022年8月分(2022年9月20日公表の総合指数)を大きく上回り、消費者の体感では、実態を上回るほど物価が上昇したと感じていることが伺える。

同調査では、支出に関して、1年前と比べて「増えた」と回答した人が48.5%と約半数にのぼる。支出増に伴って、収入も増えれば良いのだが、収入に関しては、「増えた」と回答した人は11%(前回6月調査9%)と微増しているものの、「減った」と回答した人が40%(同35.7%)と、こちらも増加。残りの半数近くが「変わらない」と回答している。

そして、支出が増えて、収入が変わらないのなら当然暮らし向きは厳しくなる。

現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりがなくなってきた」との回答が3月、6月の調査から徐々に増え、9月は半数超えとなった(図表2)。

10月3日から国会が召集されているが、17日の衆議院予算委員会で日銀の黒田東彦総裁は、現在の物価高や今後の推移について「エネルギーや食料品、耐久在などの価格上昇により、本年末にかけて上昇率を高める可能性が高い」と年末にかけて物価高が進むと発言した。