「金融リテラシー」「金融コンピテンシー」をバランスよく

生活が苦しくなり、余裕やゆとりがなくなってきたと感じる人が増えているのは分かるが、コロナ禍でいろいろなことを我慢し続けて、心身ともに疲弊している人も少なくない。

前掲の調査では、1年前と比べて、支出を減らしたものについて、1位「外食」(42.5%)、2位「旅行」(41.8%)、3位「衣服、履物類」(25.5%)、4位「教養娯楽サービス(塾、習い事、遊園地、映画館等)」(14.6%)の順となっている。まさに、ちょっとしたストレス解消になりそうなものばかりだ。

少し前に経済活性化の起爆剤になるのではと期待された「リベンジ消費」に無計画に走るのも問題だが、ストレスはこまめにガス抜きをしてやるのが肝心だ。

ため込み過ぎると、かえって円安の日本で爆買い・豪遊する外国人旅行客に触発されて、「普段はガマンしているんだから少しくらい」と、クレジットカードやネットショッピングで散財してしまうかもしれない。

これからの物価高を乗り切り、浪費癖をつけないために欠かせないお金にまつわる3つの「能力」がある。

ムダ遣いを防止する最も効果的な方法は、やはり普段から家計簿をつけて家計管理をすることだ。せっせと節約に励むだけでなく、チリツモで貯めたお金で旅行や娯楽費など年間の予算を決めて、早めに計画を立てれば、割引や特典を利用しやすくなる。

これらは専門的な言葉でいうと「金融コンピテンシー」と呼ばれる非認知能力だ。一般的にコンピテンシーとは、優れた成果を創出する個人の能力・行動特性を指す。

金融に関する教育においては「金融リテラシー」に言及されることが多いが、これは、金融や経済に関する知識や判断力といった認知能力の位置付けになる。

つまり、金融リテラシーとはお金に関する「知識」を基にした能力であり、金融コンピテンシーは「知恵や経験」を基にした行動特性と言えばわかりやすいかもしれない。

FPとして、日頃から、「もっとお金を貯めたい・殖やしたい」「家計管理をしたい」といった相談を受けているが、いくらリテラシーを向上させて、知識や情報を持っていても、ライフプランを立てる、節約を粘り強く実行する、一時的に相場が悪くなっても長期積立を継続するといった行動が伴わなければ家計は改善しない。

逆に、行動力があっても、知識や情報がなければ、「骨折り損のくたびれ儲け」という結果になりかねない。両輪をバランスよく回してやることで、あなたの“馬力”はアップするはずだ。