葬儀社や石材店などが困窮する住職に擦り寄ってくる

実はこうした不透明な納骨堂経営が、近年横行しているのだ。

一般的なスキームはこうだ。寺院と近い、葬儀社や石材店などの周辺産業の民間業者が、伽藍修繕などの巨費を必要としている住職に擦り寄ってくる。そして、伽藍の修繕費を、無宗教式の永代供養納骨堂ビジネスで賄える、などと提案してくる。

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民間業者が単体で納骨堂をつくればよい話だが、実は先述のように霊園や納骨堂事業の認可は、行政以外ではほぼ宗教法人にしか与えられていない。したがって、宗教法人の名義を借りて納骨堂を運営するのだ。そして民間業者の資本で納骨堂が建設される。そのため、納骨堂の永代使用料の売上げのほとんどは業者が手にし、宗教法人にはほとんど入らないことが多い。

一見、宗教法人にメリットがないように思えるがそうではない。永代使用料収入は入らない替わりに、契約数にともなって、葬儀や法事の布施が入る。建設費などの初期投資が不要で、かつ、布施収入が増える可能性を秘めているわけだから、伽藍修繕などを控えている寺院にとってはリスクの少ない事業のように思え、納骨堂経営話は「渡りに船」というわけだ。

が、しかし、そこに大きな落とし穴が隠されている。

あくまでも、事業の名義上の契約者は宗教法人なのだ。納骨堂建設や融資も、宗教法人名義でしか進められない。仮に納骨堂がオープンしても思うように売れなかったり、あるいは民間業者の経営が傾いたりした場合に、納骨堂ビジネスから撤退。すると、全ての責任は名義を貸した宗教法人にのしかかることになる。

こうしたスキームで、多くの宗教法人が利用されているのだ。しかし、納骨堂のニーズを読むのは非常に難しい。結局は、札幌の御霊堂元町のようにずさんな経営で破綻したり、破綻寸前状態になったりする納骨堂はかなりある。ちなみに、宗教法人の「名義貸し」は違法である。