「できるようになる」よりも「できないものをなくす」

また、受験勉強では「できるようになる」より、合格に必要な範囲での「できないものをなくす」と考えるほうがいいです。「できるようになる」のイメージでいると、どんどんレベルを上げていきたくなりませんか? しかし、難しい問題を攻略しようと思ったらきりがありません。

それよりは「必要な範囲の中でいかに穴を埋めるかの勝負」だと考えたほうがムダなく勉強できますし、事実、受験とはそのような戦いです。

志望校のレベルが高いほど必要な量も膨大になっていきますが、そのすべてを網羅できる人はまず存在しませんし、受験で満点をとる必要はありません。難問はみんな解けませんので、うっかり誰かが落としてしまうような基礎レベルの問題で確実に得点し、みんなより少しだけいい点をとれば合格できます。

つまり受験とは、「本番までに基礎分野の穴をどこまで埋めきるか」の勝負なのです。

受験は対人バトルではなくシングルプレイ

定期試験や模試と比べ、受験はスパンの長い戦いです。受験勉強を「人との戦い」と思っていると、クラスメートや親しい友達と志望校がかぶってしまったときにピリピリしてしまうことがあります。ライバルの動きが気になって気が休まらなくなることもあります。

受験はあくまで自分の中での戦いだと思いましょう。そのほうが気持ちは楽です。行きたい学校に合格するための“穴”をいかになくすかの、“課題ベース”での取り組みだと考えてみましょう。

藤白りり『いつも気分よく集中できる 「必要なことだけ」勉強法』(KADOKAWA)

理解力や暗記力は人によって違いがあるため、必要な時間も人それぞれです。「何時間勉強した?」「昨日は○時間勉強した」など、勉強時間の長さを競いがちですが、人と比べる必要はまったくありません。時間以外のことも一緒で、自分に合ったやり方をして、自分に必要な成果を得ることが一番大切です。逆を言うと、「みんながやっているから自分もできる」と思い込まないことも大事です。たとえば、部活や恋愛を勉強と両立している友人が多いからといって、自分も同じようにできるとは限りません。その時々での「現実的な目標」を達成できるかを基準に、自分のキャパシティと相談して決めましょう。

また、受験勉強を開始する時期も、みんなと同じにする必要はありません。体力があり、遅くから始めても後から一気に追い上げてくる人もいます。私もそうでしたが、体力に自信がないタイプは少し早めにとりかかるのが得策です。私は多くの人が高3から始めるだろうと思ったので、ちょっと早めの高2の秋から本格的にスタートしました。