女子に求められる反応3パターン
私は中高6年間女子校に通っていたけど、男性が自分たちのマスターベーションについて話している光景というのは、漫画や小説、先のお色気番組やダウンタウンのトークなどで認知していました。
目の前で男性たちがそういう話をしている現場に初めて居合わせたのは、大学受験の予備校に通うようになってから。
男性講師が真面目な顔をしてポケットティッシュを男子に渡しながら「たくさん使うからいるだろ、やるよ」というギャグを見た時でした。
私はそれを「アッ! 自慰ギャグだ! 面白~い‼」と仲間に入って笑いたいんだけど、なんかそういう雰囲気ではないんですよね。ティッシュギャグに男子たちは静かにクスクス……という感じで、大っぴらなギャグ披露ではないわけです。この感じ、分かります? 「男子同士にしか分からない」というのを前提とした、でもわざわざ女子がいっぱいいる教室の隅っこでヒッソリやるギャグ。
そういう時に許される女子の態度は「気づかない」「キョトンとする」「もうっ! 男ってバカ(むぅ)」の3つです。ハッキリそう言われたわけじゃないけど、それ以外はできない雰囲気がブワッと空間に充満するんですよね。
男子だけの時もやってるのかもしれないけど、きっと女子というオーディエンスがいるのはまた別の面白さがあるのだろう、というのはのちに思ったことです。
なぜ「男だけ」みたいになっているのか
当時の私は、漫画等で読んだ「男子の性や自慰」について、どちらかというと親近感を持っていました。「ええ⁈ 男ってそうなの⁈」というのよりも、エッチなコンテンツにムラムラしたり、賢者タイムなんて女でもあるのに、なんで「男だけ」みたいになってるんだろう? という疑問のほうが強かったです。
中学の時に『エルティーン』等の10代女子向けのエッチな話題が載っている雑誌を読んでいたので、自分と同年代の女子が性的なことに興味があるというのは知っていました。同じ学校の友達とも、マスターベーションの話はしなくても、そういったことに関心を持っていることはお互い普通に分かるし、だから自分が持っている性的興味についても違和感を持ったことはありませんでした。もちろん、そういったことに全く興味がない人もいたし、そういう話が好きじゃないという人もいました。
性欲の強弱や性への探究心や性癖の内容などは、性差というより個人差であると思っていました。男子でも、自慰をぜんぜんしないという友人もいたし、個人差であるっていうのは今もそう思います。
私は、どうして男性だけが大っぴらに性欲や自慰についてを話していいってことになってるんだ、不公平だ、と思っている10代だったのです。