「限界費用ゼロで複製できるプロダクト」の強さ

社会が求めているがどうやって手に入れるかがわかっていないものを君が提供すれば、社会は君に見返りをくれる。学校に行けば金儲けの方法を学べると思っている人が多いが、実際には「ビジネス」という名のスキルなんて存在しない[※4]

だから、社会が求めているがどうやって手に入れるかがわかっていないプロダクトやサービスを考えよう。そしてそれを提供する人に、それも大規模に提供する人になろう。

これこそが、金儲けの最大の難関だ。

さて問題は、何であれ「それ」を提供する方法をどうやって磨くかだ。「それ」は世代によって変わるが、テクノロジー界にあることが多い。

世界に何かが起こり、何かのスキルセットが必要になり、それを提供できるのが世界中で君だけしかいない――そんな瞬間を君は待っている。

その瞬間が訪れるまでの間、ツイッターやYouTubeで、または仕事を無償で提供することによって、君というブランドを築いておこう。君の名前を売り、その過程でリスクを取るんだ。

そしてとうとうその瞬間がやって来たら、レバレッジを――最大限のレバレッジを――効かせながら、君にしかないスキルを思う存分発揮しよう[※4]

レバレッジには大まかに分けて次の3種類がある。

第一が、「労働」だ――君のために働くヒトだ。これは最古のレバレッジだが、現代社会ではありがたみが薄れている[※4]

私に言わせれば、労働は利用可能な全形態のレバレッジの中で最悪のものだ。人を動かすことはとんでもなく難しい。とてつもない統率力が必要だ。一つ間違えば反乱を起こされ、餌食にされ、暴徒に引き裂かれてしまう[※2]

「カネ」もレバレッジの一形態だね。君が何かの決定を下すたび、その効果をカネで増幅させるということだ[※4]

資本は扱いに注意を要する、より現代的なレバレッジだ。20世紀に莫大な富を築くために利用されたのが、このレバレッジだった。20世紀にはこの形態のレバレッジが主流だった。

大富豪を見ればそれがわかる。銀行家や、腐敗した国でカネを印刷する政治家といった、大金を動かす人たちだ。テック企業を除く巨大企業や多くの老舗企業のトップを見れば、CEOの仕事は実質的に資金管理だとわかる。

お金はとても簡単にスケールできる。資金運用のスキルがあれば、動かすヒトをどんどん増やすより、動かすカネをどんどん増やすほうがずっと簡単にできる[※2]

レバレッジの最後の形態は、まだ生まれて間もない、そして最も民主的なもの。それは、「限界費用ゼロで複製できるプロダクト」、つまり追加の複製コストがゼロに近いプロダクトだ。本、メディア、映画、プログラミングコードがこれにあたる。

コードは非許可型の(パーミッションレス)レバレッジの中でおそらく最強だ。必要なのはコンピュータだけ――誰の許可も必要としない[※4]

富める者と貧しい者、ホワイトカラーとブルーカラーの区別はもう古い。今や、レバレッジを持つ者と持たざる者の区別だ。