北朝鮮が西側の武器に精通し、大量のジャベリンを入手する可能性

北朝鮮にとってもうひとつおいしいのは、アメリカの最新の軍事情報が入手できることです。ロシアの評論家ヴェルホトゥロフ氏は、こうも述べています。

北朝鮮にとって最も価値のあるものは、戦利品の武器の調査だ。西側製のさまざまな武器や装備品がウクライナ軍へ大量に供与された。その一部は破壊されたり、奪取されたり、さらにはウクライナ軍によって敵へ売却された。

ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国には現在、これらの戦利品が大量にある。それらを見たり、触ったり、分解したり、その書類を読むことなどができる。いくつかの種類の武器は、撃つこともできる。例えば、大量に奪取された擲弾発射装置ジャベリンを撃つことが可能だ。

破壊されたり損傷した装備品の調査にも大きな関心がもたれている。損傷の性質は、西側の軍事装備品の脆弱ぜいじゃくな部分を示しており、それらを破壊する戦術の改善に役立つ。韓国の軍事装備品は多くにおいて西側の装備品に類似しており、米国が用いる武器を目にするチャンスであるため、これは北朝鮮司令部にとって間違いなく価値がある。

戦利品の視察に大人数は必要ない。ロシアにある北朝鮮駐在武官事務所から、ロシア語が堪能な将校を数人派遣すれば十分だ。彼らはすべてを見聞きすることができる。このような北朝鮮将校はすでにそこで集中的に活動している可能性が高い。(8月16日「スプートニク」日本語版)

ウクライナ軍が退却する時に慌てて置いていったアメリカ製の兵器や操作マニュアルが、戦利品としてドネツクとルガンスクに残されています。北朝鮮はそれに、多大な関心をもっているのです。北朝鮮がこれらを購入し、ロシアを経由して北朝鮮へ運び込むことも考えられます。北朝鮮が西側の武器に精通し、ましてや北朝鮮に大量のジャベリンが持ち込まれるようなことになれば、韓国にとっては大きな脅威になるでしょう。

FGM-148ジャベリン対戦車ミサイルを発射する兵士(写真=SGT MAURICIO CAMPINO, USMC/PD US Marines/Wikimedia Commons

プーチン大統領の祝電に変化

ロシアと北朝鮮は、首脳間の信頼関係も強化しています。

日本では終戦記念日と呼ぶ8月15日を、北朝鮮は日本の植民地支配から解放された祖国解放記念日として祝います。今年は、金正恩・朝鮮労働党総書記とロシアのプーチン大統領が祝電を交換しました。

北朝鮮側の内容には新味がありませんでしたが、プーチン大統領が金正恩総書記に宛てた祝電には、ロシアが北朝鮮に接近する姿勢が如実に示されていました。日本を名指しこそしていないものの、〈朝鮮の解放のために肩を組んで共に戦った、赤軍軍人と朝鮮の愛国者に対する追憶〉という文言があったのです。