いったん信用したら、絶対にやってはいけないことがある。その人の手柄を横取りすることだ。上司としてはもちろん、人間としても見苦しい。そうではなく、「君のおかげでうまくいったよ」と公言しつつ、自分の上司には「誰々君の働きのおかげで目標が達成できました」と報告する。あなたのマネジメントも評価され、めでたしめでたしとなる。「全部自分がやりました」と言うから部下との人間関係もおかしくなり、それこそ部下から見ても信用できない上司となってしまうのだ。

仕事は一人ではできない。会社にも仕事にも慣れて、部下もでき始めるこの時期、忘れがちなのがこの鉄則である。多くの人の力が組み合わさって初めて大きな仕事を成し遂げることができる。他人の能力や才能、そしてやる気を引き出すための力を身につけるべき時期だろう。

「人に任せる」と同時に、仕事を効率化する手練手管も学んでほしい。まずは仕事の優先順位をつけることである。重要か否か、緊急か否か、というシンプルな二軸でいい。それができれば人に任せるべき仕事も自ずと決まってくる。

そうすれば時間は必ず生まれる。忙中閑あり、というではないか。「忙」は心を亡くすという意味である。「閑」には、「静か」「囲む」「防ぐ」という意味がある。門をくぐると鬱蒼とした木立が生い茂り、外の喧噪を防いでくれる。歩いていくと心が自然に和んでくる。心が落ち着く時間をつくれれば、来し方を振り返って仕事の達成感も味わえるだろうし、行く末を思いやれば、仕事に対する新しいエネルギーとともに、秀逸なアイデアが湧いてくるかもしれない。