12年にも15年にも金正恩は追悼文を公表

北朝鮮が文鮮明氏への追悼文を公表したのは、今回が初めてではありません。まずは死去直後に、金正恩第一書記の名前で弔電を送っています。

世界平和連合総裁の文鮮明先生が病気で逝去されたという悲しい知らせを聞き、韓鶴子女史をはじめ、ご遺族に深い哀悼の意を表します。文鮮明先生は逝去されましたが、民族の和解と団結、国の統一と世界平和のために注がれた先生の努力と功績は末永く伝えられるでしょう。(「トゥデイズ・ワールド・ジャパン」2012年10月号)

という内容でした。金正恩氏は、死後3年の2015年8月にも電報を送っています。

金正恩元帥は30日、世界平和連合の前総裁であった文鮮明氏の遺族に弔電を送った。弔電は、次のとおり。世界平和連合の前総裁であった文鮮明先生の死去3年に際して、ハン・ハッチャ総裁と遺族に深甚なる哀悼の意を表す。文鮮明先生は、民族の和解と団結、国の統一と世界平和のために多くの努力を傾けた。わたしは、ハン・ハッチャ総裁と遺族が文鮮明先生の遺志を引き続き継いでいくことを願う。(2015年8月30日「朝鮮中央通信」)
2019年2月27日、ベトナム・ハノイで、ドナルド・トランプ大統領(当時)と2回目の首脳会談を行う金正恩第一書記(写真=The White House/public domain/Wikimedia Commons

日本信者からの多額の献金が、共産主義者の金正日氏への貢ぎ物に

また文鮮明氏らは、金正日氏に100余点の贈り物をしたといいます。

金正日総書記への敬慕と信頼の念、不世出の偉人を千年、万年仰ぎ慕うという宿願と至誠を込めて、総書記に朝鮮人民と海外同胞、南の同胞が3万9000余点の贈物を送った。総書記を朝鮮革命を導く嚮導きょうどうの太陽に仰ぐという抗日革命闘士たちの白玉のような衷情が各贈物に胸熱くこもっている。(中略)

国際テコンドー連盟(ITF)の元総裁である崔泓煕チェ・ホンヒ氏と世界平和連合の元総裁である文鮮明氏は、数回にわたって100余点の贈物を送った。(2019年12月17日「朝鮮中央通信」)

1994年に金日成主席が死去した際も、真っ先に平壌へ弔問に行った韓国人は、文氏の命を受けた旧統一教会ナンバー2の朴普煕パク・ポヒ氏でした。

日本で信者から得た多額の献金が、共産主義者の金正日氏への貢ぎ物に用いられたに違いありません。このように朝鮮半島ナショナリズムを隠さない旧統一教会の内実は、自民党の主義主張と相いれるものでしょうか。従軍慰安婦や植民地支配を巡る問題で、自民党の価値観と果たして合致するのか。各議員は、どこまで知った上で付き合っているのか。とても不思議です。