若い層からはじまり中高年に達した大逆転

以上のような国民の平均時間でのネットとテレビの逆転データでは、世代ごとのダイナミックなメディア利用の状況変化が可視化されていないという弱点がある。

そこで、2012年からのテレビとネットの利用時間の動きを10代から60代までの世代ごとに示した図を図表2に掲げた。最近の2020年と21年については、試行調査として国民平均には含まれていない70代の結果も同時に示した。

テレビ視聴時間とインターネット利用時間の推移を世代別に見ると、インターネットの利用時間は、スマホ利用の普及・拡大に伴い、いずれの年齢層でも増加傾向にあるが、20代では一日4時間を超えており、3時間程度の30代~40代、2時間前後の50代~60代と比べて、特に顕著である。

テレビの視聴時間については、かねてより、高齢者ほど長いという特徴があったが、近年の動きとしては、高齢層では視聴時間がほぼ横ばいに近い動向を示しているのに対して、若い層では、むしろ、短くなる傾向が目立ってきている。2020~21年には、特に、この動きが加速した。

こうした動きの結果、2010年代を通して、10代、20代でいち早く、テレビの視聴時間とインターネット利用時間が逆転し、さらに最近、30代~40代でも両者が逆転している。そして、最近は、若い世代ではネット利用時間がテレビ視聴時間の3~4倍に達している。

若者のネット傾斜やテレビ離れが話題になることが多い。また、物心ついた時にはネットやSNSが当たり前となっていた世代である「Z世代」の動きが最近は関心を引くようになった。図表2はそうした世代の誕生を端的に示す基本データととらえられよう。

一方、50代以上の年齢層では、なお、既成メディアであるテレビがインターネットを上回っている。

2020~21年には年齢計には含まれない試行的調査結果として70代の値が得られるが、60代以上にテレビがネットを大きく上回っている。また、2020年にはコロナ禍の影響で在宅が増え、ほかにすることがないためか、テレビ視聴時間がかなり増えたことがうかがえる。