男性の育児を応援することが「リケジョ」を助ける

私が勤めている大学は、比較的育児に寛容ですし、私自身が研究室を運営している立場というのもあり、比較的自由に子供が出入りしています。それでも、休日出勤した際などは、お留守番する我が子とオンラインで会話しながら実験をしていたこともあります。

学会や打ち合わせなどでの出張も一筋縄ではいきません。最近では、学会会場に託児所などが併設されている場合もありますが、割と料金設定が高く、研究費からは支出できないなどの問題もありました。現在では、少しずつ改善されていると聞いています。

毛内拡『脳研究者の脳の中』(ワニブックス)

広いポスター展示会場に、抱っこ紐で子どもをあやしながら発表している姿や、企業展示の中を走り回っている子どもなんかもいますが、それが認められるのは良い風潮だと思います。

リケジョという言葉が市民権を得ていますが、一般企業と同様に、女性研究者のキャリアパスを考慮する動きも増えています。もちろん育児をするのは女性だけではありません。男性研究者の育休を認める動きもあります。

私自身は、大学から育児支援の補助金を2年間いただきました。このお金で、研究を補助してくれる方を雇用して、私がいない間に事務作業などをお手伝いしてもらったことで、だいぶ身の回りが楽になりました。このように、男性の育児を支援することが、ひいては女性を支援することにも繋がると思うので、ぜひこのような取り組みが今後も増えていってほしいと願っています。

ロックミュージシャンのようにギャンブル性が高い

高学歴ワーキングプアという言葉があります。せっかく青春時代を研究に捧げてPh.D.(博士号)を取ったにもかかわらず、思ったほど高給でもないですし、身分も安定しません。

世間からすると、研究者は好きなことをやっているのだからその代償だろうと思われることもありますし、親世代からするといつまで夢を追いかけてフラフラしているのかと叱責しっせきを食らうこともあります。

私自身、いつまで遊んでいるんだとか、好きなことができていいねなどと様々な声を浴びながらやってきました。