昔から、博士号は足の裏の米粒と揶揄されることが多々あります。つまり、「取っても食えない」です。ロックミュージシャンとしてバンドでやっていくと言えば、親族総出で反対されるのが相場ですが、博士になって研究者として食っていくと言えば、頑張れと言われるのが不思議です。しかし、その根っこは同じで、あまりにもギャンブル性が高いのが現状です。
一流の研究者が帰国しないケースが増えている
国内で職を得られなかった研究者は海外に職を求めることになります。最近では、そもそも日本で就職することを初めから視野に入れずに、海外に活躍の拠点を置いている研究者も少なくはありません。昔は、そうやって海外で一流の技術を身につけた研究者が帰国して、また一流の弟子を育てるという良いサイクルがありましたが、帰国できない、帰国しない研究者が増えています。
中国では、海外の一流研究室で研鑽を積んだ研究者を、破格の高待遇で呼び戻す取り組みがありました。その結果、今では、国内で一流の研究室がどんどん質の高い研究を行っているだけでなく、国内で育った優秀な研究者を海外に派遣するという取り組みもなされているようです。
これは予算と制度の問題だと思いますので、我が国でも早急に改善されてほしい問題の一つです。