感情を抑制することの残念すぎる代償

負の感情を抑制してしまうのは、とても不健康なことです。なぜなら、感情を押し殺してなんでもないようなフリをすることに慣れてしまうと、やがて自分の感情そのものを感じられなくなってしまうからです。

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感情がまひして、自分が何を感じているのかわからなくなると、そのうち生きているという感覚さえ失われてしまいかねません。一種のゾンビのようになってしまうかもしれないのです。

このゾンビ化が社会に与える影響は小さくありません。もし、あなたの会社に感情がまひしたゾンビがたくさんはびこっていたら、あなたの会社自体がゾンビのようになり、停滞してしまうことも考えられます。ですから、瞬間的に湧き上がる感情をあなたがどう対応するかは、社会全体にも影響を及ぼしかねないのです。

感情を爆発させないためのエクササイズ

他方で、感情を爆発させてしまうことも健康的とは言い難いですね。

わたしのクライアントで、金融サービス会社のマネージングパートナーを務めている方がいます。彼の悩みは、部下が彼に話をしたがらないことでした。そして長年そのような状況が続いた後、彼はようやく部下たちが彼のことを恐れているあまり、話したがらないのだと気付いたそうです。

なぜでしょう? それは、彼がいつも怒りをまき散らしていたからです。

部下たちは彼の感情の激しさを恐れていました。そのために、彼の周りにはいつの間にか恐怖の態勢が敷かれていました。

彼はとても負けず嫌いで、闘争心に溢れています。そこで、わたしは彼に「あなたがもし負けたら、あなたの内面では何が起こりますか?」と質問しました。とたんに彼は居心地悪そうにモゾモゾし始め、「そんなの無理です。負けられません、絶対に負けられません」と答えました。

そこで、わたしたちはあるエクササイズに挑戦してみました。彼がもし負けてしまったとしたら、彼の内面に何が起こるのか、どう感じるのかをあえて疑似体験してみたのです。

すると、彼はまず、腹のあたりに針金でできたボールが埋め込まれているような強烈な違和感に気付いたそうです。そして、その感覚があまりにもつらいので、何が何でも避けたいと思っていることもわかりました。さらに、その感覚を避けたいからこそ、いつも周囲に怒りをぶつけているということまでわかりました。