迅速抗原検査を行い、買い出しを頼み、勤務先に連絡…
わが家には私の職業柄、万が一の事態にすぐ対応するため、主たる勤務先から新型コロナの迅速抗原検査キットを家族人数分もらって常備していた。PCR検査に使う唾液採取用の容器も常備していたのだが、だいぶ前に息子が学校で濃厚接触者に該当したときに使ってしまった後、補充するのを忘れたままとなっていた。
だが、仮にPCR用の唾液を採取できたところで勤務先までは片道1時間以上。持って行くわけにもいかないし、結果が出るのも翌日以降だ。いずれにせよ私はすでに「有症状者」。持論に忠実に、迷わず迅速抗原検査を行った。
患者さんには数多く行ってきたが、細いとはいえ綿棒を自分の鼻腔の奥深くまで挿入するのはかなり勇気が要る。患者さんにいつも言うように「半眼で鼻に力を入れず、鼻からフーンと軽く息を吐く」を実践して粘液を十分に採取した。結果は判定時間の5分を待たずして陽性となった。私の新型コロナ感染が確定した瞬間である。
まず家族の症状と体温を確認。無症状であったが今後いつ発症するか分からないので、すぐさま開いているスーパーへ数日分の買い出しを頼んだ。同時に主たる勤務先に連絡を入れ、自己検査陽性を伝えた。
発熱外来で診断確定を待ってはいられない
前稿に書いたが、自己検査陽性の場合でも医療機関を受診して再度検査を受けなければ診断確定とならないという運用がいまだ主流だが、私の主たる勤務地の千葉県では7月13日付で自己検査陽性ならば、それをもって診断としてよいとの通知が保健所から出されていた。
そこでこの自己検査陽性結果をもって、勤務先から保健所へ届け出てもらうことにした。ただこのように一連の自己検査から保健所への届け出依頼までの流れが迅速に完了し得たのは、私が医療者であったからにほかならない。
一般の方々の場合、検査キットが手元になければ、まず発熱外来を予約するところから始めなければならない。感染爆発している現在、どこも予約はすぐに満了だろう。市販の「体外診断用医薬品」であるキットが手元にあって自己検査で陽性を確認しても、まだ多くの自治体では外来を受診しなければ診断確定とはならない。発症から診断確定、届け出まで早くとも2日、遅ければ数日かかりかねない状況なのだ。
私は自ら浴した恩恵を自慢しているのではない。誰もが私と同様の迅速さで対応されるべく体制を整えるべきだと提案したいのである。