やはりワクチンは効いていることを実感

さて私の症状はその後、発症翌日の夕方から夜にかけて38度2分の発熱があった以降は解熱傾向となり以後微熱。発症後3日目朝には完全に平熱となった。咽頭痛も軽度で咳もたまに出るのみ、味覚・嗅覚障害もなく食欲旺盛でむしろ肥満が心配になってしまうくらいであった。

ワクチンについてはネットで種々の意見を見るが、自分の症状、そして日々の診療でのワクチン接種者と未接種者の感染後の症状の違いを鑑みれば、ワクチンの重症化低減効果はあると思わざるを得ない。感染防止ではなく重症化抑止の観点から、私は少なくとも3回のワクチン接種は勧めたい。

保健所に届け出されると、携帯のSMSにMyHER-SYS(マイハーシス)という新型コロナ健康状態入力フォームの案内がその当日に届く。指定されたURLにアクセスし、メールアドレスや与えられた認証コード、パスワード等を設定し入力するのだが、微熱で軽症の私でさえ、このような入力作業はしんどかった。私より症状のつらい方やネットに不慣れな方は、これらの入力を自分で行うことは困難だろう。

保健所からの直接の電話連絡は7月18日(発症後3日目)に初めてあった。届け出記載事項の正否、症状経過、宿泊療養希望の有無、配食サービスの案内、今後のフォローアップ連絡について看護師から説明を受ける。私の場合、すでにこの前日には症状のピークは過ぎていたため、宿泊療養は希望せず自宅にとどまる選択をした。

「コロナ=重症」という思い込みが感染リスクを増やす

その後は連日、24時間体制の都の自宅療養者フォローアップセンターから電話で状態確認がくることとなった。そこで知ったのだが、やっとの思いでログインしてMyHER-SYSに入力した自分の健康状態データは、フォローアップセンターとは連動されておらず確認できないとのことであった。

一番つらいときに入力したものが無駄と知って脱力したが、MyHER-SYSの登録自体はいずれ大切になる。療養後の保険金請求の際に必要となる「療養証明書」が、このMyHER-SYSから発行できるからだ。健康状態の入力はせずとも登録だけはしておいたほうがよいだろう。療養証明書は医師の確定診断がなされて初めて発行されるものゆえに、医師の診断体制が崩壊してしまうと保険金を受け取れない人も続出してしまいかねないのだ。

自らが医師とはいえ、看護師の方に直接状況を話し疑問を聞くことができるこのフォローアップセンターのサービスは、非常に心強く思えた。一般の方々であればなおさらだろう。さすがに2年。他の自治体の現状は分からないが、少なくとも都内においては思っていたより不安のない自宅療養体制が作られていた。

幸い私はこのまま軽症で済みそうだが、現在主流といわれているBA.5は危険ではないのか。これについてはまだ軽々に判断すべきではないだろう。ある専門家は基礎研究の結果であるとしながらも、「肺で増殖しやすい可能性」を指摘している。とはいえ「新型コロナは重症化しやすい恐ろしいウイルスだ」との認識を強く持ち続けることは、かえって感染拡大のリスクを増やしかねない。それはどういうことか。