徹底した行動管理がメソッドを結果に変える
SAPS経営の根幹は、PDCA(計画、実行、評価、改善)という極めてオーソドックスな手法だ。さらに言えば、OGISM(A)表はP&Gが取り入れている手法。つまり、いずれもユニ・チャームオリジナルのものではない。しかし当然ながら、独自の工夫も加えてある。PDCAのサイクルを1週間という極めて短い時間で回すこと、そして、このサイクルを確実に駆動させるために週次SAPS会議を取り入れている点である。
PDCAサイクルは、1年、半年、1カ月といった単位でのローリングだけでは絶対に遅れてしまう。また、個々人でそれをやれといっても、簡単に挫折してしまう。週次サイクルと「今週できなかったこと」を他者の前で確認し合う週次SAPS会議の採用は、いわばPDCAという仏に魂を入れる仕掛け、メソッドを確実に行動に移すための仕掛けなのである。
社員の中で最も困る存在は、いわゆる“インテリヤクザ”だ。インテリヤクザは、知識や思考を披歴する局面では立て板に水だが、何も行動しない。「私考える人、あなたやる人」という態度である。しかし、いくら素晴らしいことを考えても、それを行動に移さなければ、当人は成長しない。同様に、高額の費用を支払ってコンサルタントの指導を受け、どれほど優れたメソッドを導入しても、それを徹底して行動に移さなければ、会社は変わらない。
つまり、SAPS経営は、週次サイクルを絶え間なく回転させることで、思考と行動を一体化させる仕組みなのだ。実際にやってみること、しかも徹底的に経験すること。その2つがなければ、本当の学びは起こらない。この“学びの度合い”の異様な高さが、現在のユニ・チャームの強さを形作っているのだと私は考えている。