先回りして気持ちが暗くなるのは損
私たちは社会の中に身を置いて生活していますから、つねにこれから先のことが心配になります。
人間関係にまつわる悩みも、日常茶飯事のようにあります。
予期不安というのは、これから先のことについての「過剰」な不安ですから、悩み始めたらキリがないし、実際には起こらないことがほとんどです。
実際には起こらないことに対して、あれこれ考えて不安になり、落ち込んでしまうのですから、完全に「取り越し苦労」です。
実際に起こってから悩むようにするだけでも、不安の9割はなくなります。
でも、なぜか多くの人が予期不安に悩まされてしまうのです。
一番の原因は、「情報不足」にあります。
自分がよく知らないことや、これまでに経験したことがないことに出会うと、人は不安になるものです。
予期不安というのは、よくわからないことをあれこれと思い浮かべて悩むことですから、当然、自分勝手な妄想が広がります。
勝手な妄想に振り回されるから、不安はますます増幅することになり、結果として暗くなってしまうのです。
不安のリアリティを見極めることができれば、実際に起こる可能性を予測することができます。
ある程度の予測ができれば、不安に振り回される必要はなくなるのです。
告白しないとつき合えない
予期不安を軽減する方法には、3つのアプローチがあると考えています。
そのひとつは、何ごとも「やる前から答えを出さない」ということです。
世の中は、「やってみなければわからない」ことばかりですから、実際にやってみて、その後に答えを出せばいいのです。
例えば、パニック障害の発作が心配で電車に乗れないという人には、こんな経験をしてもらうこともあります。
「各駅停車でいいから乗ってみましょう。もし心臓が止まっても、すぐに蘇生できます。安心して乗ってください」
まずは電車に乗ってみて、「やってみたらできた」という経験をすることが大事です。
その経験を通して、「案ずるより産むが易し」を実感として理解できれば、漠然とした不安は解消できます。
不安が解消できれば、列車の旅を楽しむこともできるのです。
「恋人ができない」と悩んでいる人にも同じことがいえます。
断られることばかり心配して相手に告白できなければ、ルックスが飛び抜けていいとか、大金持ちでもない限り恋人はできません。
断られる可能性があっても、こちらから告白しない限り、相手に受け入れられることはないのです。
ひとり目がダメでも、ふたり目はOKかもしれません。
「何ごとも試してみなければわからない」というのは、「人生がうまくいく明るい人」の考え方と同じです。
「やってみなければわからない」とか、「試してみないとわからない」という発想を持つことは、予期不安の解消にも役立ちます。