ところが、そのピークの時期によっては、勉強の勢いが失速する場合があるのです。小6生の春先から夏にかけての時期をそういう状態で過ごした子どもが、そのまま年明けの入試本番まで走り続けられればいいのですが、1年近くをトップスピードで走り続けるのは容易なことではありません。

例えば、体調を崩したり、ちょっとしたことがきっかけで脱線すると、勉強のリズムが崩れ、「過去の勉強の蓄積」に頼ろうとするようになります。問題に対するアイデアや、じっくり考える力というのは、そんなに急になくなるものではありませんが、ここで問題になるのは、まず「精度」です。

経験則の積み上げによって得た「パターン能力」の精度というものが、脱線という間を置くことで、短期間のあいだでやはり少し鈍ってしまうのです。

夏・秋・冬で勉強のペースを調整したほうがいい

現時点でまだ、多少学力が劣っていても「いま」勉強が楽しくて、常に自分で考えてワクワクと取り組んでいる子どもと、「過去」の知恵で戦っている子どもとの勝負は、かなりの確率でやはり前者に軍配があがります。これが、「中学入試の合格確率を上げるひとつのポイントは勢い」と言われるゆえんです。

ライバルより能力があっても、勉強のピークがずれてしまったことで、「勢い」で負けてしまうケースが中学入試には本当にたくさんあります。

橋本憲一『中学受験に合格する子の学んだら忘れない勉強ルーティーン』(ポプラ新書)

しかし、もともとの能力が高いばかりに、すでに勢いを失い、過去の蓄積に頼る状態になっていることに、親も子どももなかなか気がつきません。親は逆転されたことが許せず「いままで勝っていたあの子になんで負けたの?」と、子どもを責めますし、子どもは子どもで、自覚がないので「ちょっと夏休みボケで9月、10月とあんまり勉強してなかったからなぁ」などと思っています。

このようなケースの場合は、逸早く親が子どもの変化に気づいてあげて、焦らせずに11月からでも再度ペースを上げて12月・1月と「四六時中勉強を我慢してこなしている」受験生に仕上げていけば、もとの蓄積があるのでまったく心配いりません。夏休みが終わって学校が始まり、9月・10月には勉強のペースを崩す受験生がたくさんいるという情報を頭に入れておけば十分に対応できるのです。

従って、大半の受験生は小6生の春先から夏休み前までは短時間の集中した勉強に取り組み、夏休みに一度「寝る以外は勉強」の精神で「四六時中勉強を我慢してこなしている」受験生に近づく努力をしてほしいです。そして、秋は短時間の集中した勉強に戻して睡眠をしっかりとって乗り切り、夏の経験をもとに12月・1月と「四六時中勉強を我慢してこなしている」受験生に仕上げていくのが一番いいと思います。

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