睡眠時に目が覚める、強い眠気は注意

SASや、SASの主な症状であるいびきについては、自覚症状がほぼないため自認が難しいことは冒頭で申し上げました。しかし、無呼吸が気づかないうちに体にさまざまな影響を与えていることは、説明してきたとおりです。そこで、自覚がない方にもSASを疑っていただきたいケースをいくつかご紹介します。

<睡眠時>
・睡眠中に何度も目覚める
・息苦しさで目が覚める
・夜間頻尿
・寝汗をかく

頻回の無呼吸は睡眠の質を落とすため中途覚醒しやすくなり、中途覚醒には尿意を伴うことが多いのも特徴です。息苦しさで目が覚めたり、大量の寝汗をかいていたりすることもあります。また、起床時に熟睡感がなく、頭痛や口腔内の乾燥を感じるケースもSASの患者には多く見られます。

<日中(覚醒時)>
・強い眠気
・倦怠感やだるさ
・疲労感が抜けない
・集中力が続かない
・抑うつ状態

強い眠気や倦怠感はSASの代表的な症状です。居眠りを指摘されたり、細かなミスをしてしまったりなどの自覚がある方は要注意です。睡眠不足により抑うつ状態に陥る場合もあります。一方で、日中の眠気がない方もいらっしゃいます。無呼吸が必ずしも日中の眠気を伴うものではない点にも、注意が必要です。

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肥満、飲酒や喫煙者

<SAS患者に多い特徴>
・肥満
・顎が小さい
・飲酒、喫煙習慣がある
・口呼吸
・男性

無呼吸の原因は、ほとんどの場合、空気の通り道である気道が物理的に塞がってしまうことによるものです。睡眠時の仰向けの状態では、重力で舌が沈み込むことに加え、顎や喉周りの筋肉が緩むために気道が閉塞しやすくなります。蓄積した脂肪が気道を狭くするので、SAS患者には肥満の方が多いです。ただ、肥満ではなくても、顎の小さい日本人は舌根が落ち込みやすいそうです。日本人が骨格的に無呼吸になりやすいと言われるのはこのためです。

そのほか、気道を閉塞させる原因として、加齢により筋力が低下すること、飲酒により筋肉が弛緩すること、喫煙により気道粘膜が炎症を起こすことなどが挙げられます。口呼吸は鼻呼吸に比べ咽頭が狭くなるので、無呼吸のリスクが高まります。男女比では男性が多いのは事実ですが、女性でも発症する可能性はあるので、気になる症状があればSASを疑うことは必要です。