野古新基地建設の総工費は当初の約2.7倍、約9300億円に

知事が指摘するように、国が示す辺野古新基地建設の総工費は、当初計画額の約2.7倍となる約9300億円に膨らみ(沖縄県の独自試算では防衛省の当初計画の約10倍に当たる2兆5500億円)、工期も当初想定の5年から4年以上延び、米軍が使用するまでに少なくとも12年を要する。

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沖縄防衛局は同年12月7日、沖縄県に提出した設計変更申請が「不承認」とされたことへの対抗措置として、行政不服審査法に基づく審査請求を斉藤鉄夫国土交通相に提出し、不承認の取り消しを求めた。国と県の対立は今後、法廷闘争に発展していく可能性が高い。

埋め立て海域の軟弱地盤は、最も深いところで90メートル(水深30メートル、地盤60メートル)に達し、これほどの深さの地盤改良工事は世界でも前例がないことが分かっている。

土木工学の専門家は、地盤沈下によって護岸が崩れ、埋め立てた土砂が海に流れ出る危険性があると警鐘を鳴らしている。

琉球新報(2021年12月15日5時00分・電子版)の社説も、「米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)はことし3月、『完成する可能性は低そうだ』と実現を困難視する報告書をまとめた」と報じている。

新基地建設は無意味な工事になる可能性が高い。たとえ完成したとしても、土砂ならぬ膨大な時間と公費を投入した改修工事が繰り返し必要になるのではないか。政府の「普天間飛行場の一日も早い危険性の除去には、辺野古が唯一」とする説明はすでに破綻している。(文中敬称略)

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