辺野古新基地の軟弱な埋め立て地域に投入するモノとは

計画は、辺野古新基地建設の埋め立て海域で「マヨネーズ状」ともいわれる軟弱地盤が確認され、大量の土砂を使用する改良工事が必要になったためである。その経緯を見ておこう。

共同通信(2022年1月10日20時36分配信)によると、同社は情報公開請求で防衛局の関連文書を入手。防衛省は地質調査した業者から地盤の問題や沈下の懸念を伝える報告を、埋め立てが始まる3年前の2015年に受けていたことが分かった。

また「米軍が当時、地盤の強度に懸念を示したことも記されており、沖縄県には情報を伏せる一方、米軍と協議していたことがうかがえる」(同配信)

軟弱地盤は長期の地盤沈下が懸念されることから、滑走路などがある基地建設にとって重大な問題である。にもかかわらず政府はこうした経緯を公表せず、2017年4月に埋め立て予定海域を囲む護岸工事に着手、翌2018年12月には埋め立て土砂の投入を開始した。

沖縄島の地図
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長期間にわたって沈下する軟弱層は見つかっていないとする政府が、一転して軟弱地盤の存在を認めたのは、報告を受けて4年後の2019年になってから。政府は公有水面埋立法に基づく設計変更申請を顧みず、事実を隠蔽して埋め立てという既成事実を積み上げて押し切ろうとしたのであろう。

防衛省は翌2020年4月になって、軟弱地盤の改良工事のための設計変更申請を沖縄県に提出。埋め立て土砂の総量は2017万6000立法メートルで、東京ドームの約16.3個分に相当する。当初の計画では土砂の7割を瀬戸内や九州などの県外から調達する予定だったが、防衛省は設計変更に伴い県内で調達が可能とした。

埋め立て土砂の採取地は、現行計画の本部町、名護市、国頭村に加え、うるま市、糸満市、八重瀬町、石垣市、宮古市、南大東村の沖縄全域7地区9市町村への変更を申請。県内で採取する土砂の量も現行計画の670万立法メートルから、約6.7倍の4476万3000立法メートルに増えた。設計変更申請書は軟弱地盤を埋め立てるための土砂の7割以上を激戦地となった本島南部から調達できるとしている。