子供は大人以上に同調圧力に弱い存在
すでにこの2年間、子供たちには、いろいろな変化が表れています。
たとえば、いわゆる同調圧力の問題があります。そもそも、子供は大人以上に、同調圧力に弱い存在です。近年、注目されている「進化心理学」では、「ヒトは、群れから離れると、生きていくことができないため、同調圧力に弱くなった」とも考えるのですが、子供はその傾向がさらに強いのです。
文明社会の訪れる前、子供は群れから外れると、ほぼ確実に命を落としたため、仲間はずれを極端に恐れるように進化してきたのです。むろん、同調圧力に弱いほど、マスクをするしないなどをめぐるプレッシャーからのストレスは大きくなります。
また、休校や学級閉鎖などが繰り返される影響で、生活リズムが崩れ、心身に変調を来している子供が増えています。「おなかが痛い」「頭が痛い」と訴える子供、あるいは、不安になりやすい子、落ち着きがなくなる子が多くなっているのです。
子供たちを救い出す「決断」を下すべき
むろん、自宅にいる時間が長くなれば、ネットやゲームへの依存も進みます。外に出て遊べなくなり、自宅で過ごす時間が長くなると、食欲不振も進みます。国立成育医療研究センターの調査では、2020年度、神経性やせ症の外来患者数が前年比60%も増えたといいます。同症は、思春期に多い症状ですが、おそらくは人とのコミュニケーション不足によって外見へのこだわりが強まり過ぎたことから、それだけ食欲不振に陥っている子供が多いのです。
また、もともと学校が苦手な子供の場合、学校が再開し、新たな登校日を迎えたときに、抑うつ的な傾向が高まる恐れがあります。翌日に新学期がはじまる夏休み最後の日に、子供の自殺が増える「8月31日問題」の存在は知られていますが、休校と開校の繰り返しは、そうした“悲しい節目”の頻度を増やすことにもつながりかねません。
そして、今の子供たちの多くは、運動会で声援を送ることもできず、卒業式で合唱することもできません。そうした異常な日々から、子供たちを救い出す「決断」も、私たち大人の責任だと思うのです。