マスクはもう外してしまってもいい?
マスク必須の世の中になって2年半。人々がノーマスクで街を行き交い、買い物をし、旅を楽しみ、学校や職場で会話や議論をする光景は、今や映画やテレビドラマの中という“非現実的な世界”でしかお目にかかれなくなってしまった。
3年前であれば想像すらできなかった「街ゆく人たちがこぞってマスクを着けている」という現実は、この2年半のうちにすっかりアタリマエのものとして私たちの生活に定着してしまったとも言えるが、オミクロン株の流行も落ち着きを見せてきた今、もういいかげん過去のアタリマエに戻してもよいのではないか、との声も聞かれるようになってきた。
「マスクを外そう」という動きである。
政府も5月23日、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」でマスク着用不要の具体例を以下のように提示した。
(1)屋内で他者と身体的距離が取れて会話をほとんど行わない場合
(2)屋外で他者と身体的距離が確保できる場合
(3)屋外で他者と距離が取れない場合でも、会話をほとんど行わない場合
(4)2歳以上の就学前の子どもは、他者との身体的距離にかかわらず、着用を一律には推奨しない
(2)屋外で他者と身体的距離が確保できる場合
(3)屋外で他者と距離が取れない場合でも、会話をほとんど行わない場合
(4)2歳以上の就学前の子どもは、他者との身体的距離にかかわらず、着用を一律には推奨しない
本稿では、これら最近の動きを踏まえて、ポストコロナ社会におけるマスクとの付き合い方について私見を述べてみようと思う。
ノーマスクで診療していた医師も少数派ではなかった
思い起こせばコロナ禍以前、マスクは、花粉症の人や、医療や食品関係の現場で働く人、粉塵や放射性物質などを吸引する危険のある汚染環境で就労している人が主として着用するものであった。
私も医師であるからマスクを着用する機会は一般の方よりは多かったと記憶しているが、それでも常に着用していたわけではなかった。外科医であった当時は、もちろん手術中はマスク必須。だがその後、総合診療を長年行ってきた中で風邪やインフルエンザの患者さんを診療していたときにマスクを常時着用していたかというと、必ずしもそうではなかった。