体の免疫力はどうすれば高められるのだろうか。鳥取大学医学部生命科学科の常世田好司教授は「体の不調で解熱や鎮痛のため薬を使うのは、それらの症状でどうしても眠れないときに限ったほうがいい。人間にとって最も大切なのは睡眠、つまり休息だ」という――。

※本稿は、鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 10杯目』の一部を再編集したものです。

免疫には「攻撃・抑制・記憶」の3つの機能がある

“疫”を“免れる”と書いて免疫。免疫とは、疫病(感染症・伝染病)からまぬがれる、すなわち病原体から体を守るための仕組みである。何重にも防御システムが働き、関係する細胞の種類が多いため、理解することは非常に難解だ。

「免疫には攻撃・抑制・記憶の機能があることをまず覚えてほしい」と常世田は前置きした。

身体に病原体などが侵入すると、生体反応として炎症が起きる。そしてその炎症に対し3つの機能が作動すれば、初回こそ治癒に時間を要することもあるが、二度目は、以前の記憶から、すぐさま反応して炎症を起こすこともなく対処できるようになる。

この状態を“免疫がついた”と表現する。この応用がワクチンである。

昨今、我々を悩ませている新型コロナウイルス――感染症を例にして考えてみよう。

感染症を引き起こす主な病原体は、細菌とウイルスの2つ。これら病原体が身体に入ると、まず皮膚や粘膜といったバリア機能が働く。そこで防げなかった場合、次に働くのが免疫細胞だ。

実は人間の身体には、新型コロナウイルスをはじめ、すべての病原体に対する免疫細胞が備わっているという。その種類は何億、何兆種類である。だとすれば免疫細胞があれば、人間の身体は防御されている、はずである。

免疫には攻撃、抑制、記憶の機能があり体内の炎症に対処している。
イラストレーション=矢倉麻祐子
免疫には攻撃、抑制、記憶の機能があり体内の炎症に対処している。