日本の社会は医者に任せすぎ、免疫を第2の自分と捉える
身体を休ませることによって、糖や酸素が免疫細胞の活性化に使われる。
また忘れてはならないのは、加齢により免疫細胞の働きが鈍化することだ。
免疫細胞は骨髄で作られている。そして、特に病原体に反応する細胞や炎症を抑える抑制系の免疫細胞は、胸腺という組織で成熟する。
しかしこの胸腺は、思春期をピークに、その後は年齢とともに退化していく。高齢になるにつれて、病気にかかりやすく炎症が長引くことがあるのはそのためだ。
「生物学的に人体は、おそらく思春期までが外敵への備えが万全となるように作られているのかもしれない」
昨今、免疫の老化が身体の老化につながることが分かっている。しかし、どうやって免疫の機能を維持していくかは研究中である。老化した細胞を除去して、若い細胞に入れ替えるといった研究も進んできているという。
常世田は最後にこう呼びかける。
「免疫を第2の自分と捉え、もっと大事に付き合っていくことが重要。日本の社会は医者に任せすぎ。自分の身体、免疫、健康のことをもう少し自ら学ぶことが必要なのでは」
自分を守るのは自分の免疫なのである。
(取材・文=中原由依子 イラストレーション=矢倉麻祐子)