マスクが手放せない生活はいつまで続くのか。精神科医の和田秀樹さんは「マスク着用のデメリットについて真剣に考えるべきだ。とくに子供たちへの悪影響は深刻で、彼らを救い出す決断をするのが大人の責任だ」という――。

※本稿は、和田秀樹『マスクを外す日のために 今から始める、ウィズコロナの健やかな生き方』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

小学生の娘たちを学校に送り出す母親がマスクの位置を調整している
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マスク着用で血中二酸化炭素濃度が上昇する

マスクをすることには、メリットもあれば、デメリットもあります。

いちばんのメリットは、新型コロナを含めて、感染症をうつすことをある程度予防できること。では、デメリットは? ――これはもう、数えきれないほどありますので、その代表例を紹介していきましょう。

まずは、「マスク酸欠」になることです。

マスクをすると、自分の吐いた呼気がマスク内にたまります。呼気は、通常の空気よりも二酸化炭素を多く含んでいますので、マスクをつけ続けていると、たえず「二酸化炭素多め、酸素少なめ」の空気を吸い続けることになります。

すると、どうなるか? ――医学用語を使えば、血中二酸化炭素濃度が上昇します。

その第一の弊害は、頭痛が起きやすくなることです。二酸化炭素は、脳の血管を拡張させるので、三叉さんさ神経などを刺激して、頭痛の引き金をひくのです。

当然のことながら、酸欠状態では、思考力や記憶力といった脳の力が低下します。

脳は、その重量は全体重の2%ほどしかないのに、ヒトが摂取する酸素の20%をも消費する「酸素大食い臓器」です。新鮮な酸素が脳に行き渡らなければ、たちまち支障が生じるのです。集中力を保てなくなり、眠くもなります。中・長期的には、脳内神経細胞や情報伝達システムの劣化によって、「頭が悪くなっていく」リスクもあります。