「施設をむげに追い出すようなことはしません」

次に、叔父が入所している施設の担当ケアマネージャーに公正証書遺言の件を説明したところ、「わかりました。公証人が来るなら場所を用意します。証人もこちらの職員2名が対応しましょう」と快諾してもらえた。一方で、

「特別養護老人ホームの申し込みは、できるだけ早くしてください。どこも待機者がたくさんいるため、何カ所でも、できる限り申し込んでほしいのです」

との要望があった。「ウチは老健なので、あくまで仮住まいです。原則3カ月で出てもらうことになりますが、ご親族が叔父さんのために努力してくださるのなら待ちます。むげに追い出すようなことはしません」と付け加えた。

こういう話をしっかりしてくれたことで、筆者は焦ることなく手続きを進めることができた。

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少子高齢化で成年後見制度の利用が増えている

成年後見制度は、電話相談で紹介された司法書士に連絡を取ることから始めた。ここは個人事務所としてホームページを持っていたため、最初の電話以降はメールでやり取りすることができた。主な内容は、

・申立人は義母になるため、叔父との続柄のわかる戸籍謄本や実印、認印、印鑑証明書などが必要
・叔父も同様の書類が必要
・制度を利用するためには医師の診断書が必要
・早いうちに叔父さん、義母と面談したい

など。司法書士によると、少子高齢化が進んでいる今、成年後見制度の利用が増え、この町でも希望者が増えているとのことだった。当人も現在担当している人が複数おり、あとひとりくらいが限界だろうとの話も出た。そのため、こちらも急いで進める必要があった。

こうして仕事の合間に一つひとつ準備を整え、診断書作成のため叔父を病院に連れて行く予約や、その足となる介護タクシーの予約を済ませた。公正証書遺言作成のための面談日を自身の現地滞在日に設定し、3日間の予定で九州に飛んだ。

ちなみに、司法書士と叔父の最初の面談だけは時間と場所を決め事前に済ませてもらった。