最低でも300万円近い現金、車や不動産が絶対に必要
「万紫千紅一片緑」とはどういう意味か。
万紫千紅とは、花が色とりどりに咲き乱れる様で、この場合、貨幣の色を指す。万の紫、紫色の5元札は1万枚、千の紅、赤い色の100元札は1000枚、それに加えて可能な限りの緑色の50元札が必要だという意味だ。合計すると、最低でも15万元(約285万円)になるという。
必要なのは現金だけではない。
現金に加え、欠かせないのが「一動不動」である。「一動」とは一台の車、「不動」は一軒の家である。金銀の装飾品から始まり、新居と新車は結婚にあたり「ひとつたりとも欠かせない」重要項目である。これに現金が加わるからたまらない。
問題は、高額な結納金。都市では形骸化しつつあっても、農村地区、特に貧困地域で、ますます過剰になっていることだ。
一人っ子政策が生み出した「男女出生比率の歪み」
何故こんなことになったのだろう。
答えはただひとつ。男性の結婚難という現実があるからだ。一人っ子政策は、中国人社会に多くの影響をもたらした。なかでも最たるものが男女出生比率のアンバランスを生み出したことではないだろうか。
1980年から正式に施行された「一人っ子政策」とは、一組の夫婦に子供は一人だけ、というこれまでに類を見ない不思議な政策である。2015年に廃止が決定されるまで、なんと40年近く厳しく施行された悪政といっていい(2021年に子供を三人まで認めるという方針を発表)。
一人しか産めない、一人しか産んではならない、となると、一般的な中国人は男の子を選ぶ。男の子でないと家が途絶える、という伝統的な考え方とともに、老いては子供に養ってもらうというのが中国の習慣だからである。男の子は「労働力」であり、「老後の保障」だったのだ。
従って、事前に女の子だとわかると、あっさり中絶してしまう例も後を絶たない。一人っ子政策のもと、「ベストの状態で子供を産む」という考え方があるので、中絶のケースは驚くほど多い。そんなこんなで、生まれてくる赤ちゃんの数は、女の子より男の子が勝るという状態が長らく続いた。中国の出生人口の男女比は2014年、女性100に対し男性が115.88となった。国際的に正常とみなされる103〜107に比べれば、著しい男児偏重だ。