3つの視点から本業を見つける

具体的には、以下の「3つの視点」から仕事のあり方を見直してみることが有効です。それは、「①分解する」「②デジタルを活用する」「③外と組む」という視点です。

つまり、自らの業務や事業のあり方を要素分解して、デジタル技術の活用によって自動化もしくは代替できるか、外部のプレイヤーによって代替できるか、という観点で見直してみることです。

それによって、代替しきれないもの、或いは相対的に強みが持てそうなものを特定してゆくアプローチです。

得られる2つのメリット

こうした“脱自前”による“本業の再定義”には大きな意味があります。

一つは、経営資源(リソース)のかけ方の選択と集中、資源の再配分の観点です。今まですべてを自前で賄っていたが故に、本来必要な領域以外に時間や労力が費やされていました。それを削減し、本来かけるべきコア領域にそのエネルギーを傾けることができることは大きなメリットです。

もう一つは、外部プレイヤーと新たな関係が出来ることです。外部の多様なプレイヤーと積極的に組むことにより、今まで触れることがなかった情報が入るようになり、新たな気づきが増えるのも大きなメリットと言えるでしょう。

こうしたコア領域への資源集中と、外部との接点拡大は、自前に閉じていた過去には想定し得なかった新たな境地を切り拓くことになるのです。

IT関連は全てJリーグが一括管理する

自らの生業なりわいを再評価し、本業を再定義して、強みを最大限に発揮する。そうして価値を高めた事例に、Jリーグがあります。

Jリーグには全部で58のクラブがあります。当然、各クラブで多様な意見がある中で、前チェアマンである村井満氏が、就任当初に全会一致で決めたのが「裏側の“デジタルプラットフォーム”はJリーグ側が受け持つ。同時に、各クラブはサッカーに注力する」という方針でした。

個々のクラブが自前でITに投資をすると、クラブの財政にとって大きな負担ですし、実際には重複する部分も多く発生します。そこでJリーグがEC(電子商取引)やデータ記録、ファンエンゲージメントなどのシステムを受け持つ代わりに、クラブは「本業」であるサッカーを競い合う、という戦略にしたのです。

画像=Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)より

それからは、北海道から九州・沖縄まで、気候風土はもちろん、地域住民との距離感が全く異なる中で、それぞれのクラブは自分たちの目指すサッカーを言語化し「おらが町のサッカー」を磨くことを徹底しました。

Jリーグのデジタル改革のスタートは、“本業の再定義”でもあったのです。