これから日本企業が成長するためには何が必要なのか。デロイトトーマツグループ執行役の松江英夫さんは「私は『脱・自前』が必要だと考えている。そこで参考になるのがJリーグのV字回復だ」という――。

※本稿は、松江英夫『「脱・自前」の日本成長戦略』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

新聞の見出しに「V字回復」の文字
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日本企業が成長するために必要な「脱自前」

これからの日本社会に求められるのは“脱自前”です。“脱自前”という言葉には、変革を妨げるタコツボ化、更にその根源にある自前主義を見直すことで、これからの日本における「成長」の可能性を引き出そう、という意図を込めています。

“脱自前”を実現するにはどうすればよいか、そのための考え方のアプローチを見てゆきたいと思います。

“脱自前”は、他者との連携をオープンに推し進めることによって“自分の強み”を見極め、さらに伸ばしてゆくための新しい関係を構築することを目指しています。そのためには、自分の強みは何かを再発見することが必要です。

自社の強みを見つける方法

自らの強みを見つけるというのは、言うは易く行うのは難しいテーマです。ここではそのヒントになる切り口を紹介してゆきます。

松江英夫『「脱・自前」の日本成長戦略』(新潮新書)
松江英夫『「脱・自前」の日本成長戦略』(新潮新書)

まず一番身近な企業活動を例にとってお話しします。

強みを見い出すうえでの基本的な考えは、自らの事業や仕事のあり方を、外部の視点から客観的かつ相対的に見直すことです。事業を取り巻く環境は日々刻々と変化しています。当たり前と思っていた今までのやり方が既に時代遅れになっていて、他で優れた方法が誕生していることも多々あります。

外部と比較して相対化することにより、自らが行ったほうが良い仕事、自分にしかできない領域、または、今は強みと言えないまでも将来に向けてより価値を高められる領域を見極めてゆくことが必要です。