子どもと接する時間は母親より父親のほうが長い

現在フィンランドの男性が子どもと過ごす時間は1日あたり平均で4時間14分。2017年にOECDが発表した、親が子どもの育児に積極的に関わる時間についての調査では、フィンランドは父親の方が母親よりも1日あたり平均で8分長かった。父親の方が長い国はフィンランドのみだ。

また、日本企業が2018年に発表した、日本、インドネシア、中国、フィンランドを比較した調査によると、平日に父親が帰宅する時間は、フィンランドの場合は16時台が最多である一方、日本は22~0時が最多となっている。平日に父親が子どもと過ごす時間については、フィンランドでは3~5時間未満が46.6%だが、日本ではその割合は15.5%に過ぎず、1時間未満が35.5%もいる(ベネッセ教育総合研究所「幼児期の家庭教育国際調査」)。

有給取得や定時帰宅があってこそ主体的な子育てができる

フィンランドで父親がこれだけ子どもと時間を過ごせるのは、ワークライフバランスが整っているからこそだ。定時に帰り、有給休暇もしっかり取るから、フィンランドでは父親も積極的に家事や育児ができる。さらに、テレワークやフレックスタイムが普及し、柔軟な働き方が可能になっていることで、女性も男性も家庭と仕事の両立がしやすくなっている。

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現在フィンランドでは、フレックスタイムが9割の企業で採用されていて、新型コロナウイルスの感染拡大以前から週一度以上の在宅勤務が3割に達していた。管理職に至っては6割が在宅勤務をしていたという。

2020年春の感染拡大時は、緊急事態宣言後すぐに約6割が在宅勤務に移行した。これは欧州のどの国よりも多い数字だ。これだけ在宅への移行がスムーズだった理由としては、もともとデジタル化やIT利用が進んでいたこと、柔軟な働き方への理解や知識が広く共有されていたこと、管理主義ではないマネージメントスタイルや、仕事内容や目標がはっきりしたジョブ型雇用が当たり前で在宅に適していたことなどが挙げられる。

このような環境も、父親も母親も子どもに関する責任を等しく負い、仕事と家庭が両立しやすい状況につながっている。