生後約14カ月まで夫婦が交代で休みを取ることもできる

さらに現政権は、父親が取れる休暇の期間が母親より短いのは不平等だとして、期間を等しくする目標を掲げた。フィンランドでは育児休暇のことを母親休暇、父親休暇、両親のどちらでも取れる両親休暇と呼んでいたが、今度は家族休暇という名称となり、「1+7+7モデル」を採用した。

最初の1カ月は従来的な出産前の産休にあたるものを用意し、出産後には母親と父親が7カ月ずつ交代で休みを取り、最大で生後約14カ月まで育児休暇を取得できるようにする、という仕組みだ。そしてシングルマザーの場合は両方を1人で取ることができ、14カ月後には今まで通り在宅保育をすることも可能だ。

2022年9月からこの新たな制度の運用が始まる。この変化により、父親と母親がより平等になり、父親がさらに休暇を取りやすくなって子育てに主体的に関われるようになると期待されている。

体調を崩した子の面倒を見るのは母親に限ったことではない

フィンランドでは、10歳以下の子どもが急病になった場合には4日間まで看護休暇が取得できるが、こちらの取得率は男女で大きな差はない。意外に思われるかもしれないが、フィンランドには病児・病後児保育施設はほとんどなく、子どもが体調を崩した時に世話をするのは親の責任だと考えられている。しかし、その時に面倒を見るのは母親に限ったことではなく、共にフルタイムで働く2人がそれぞれの予定や仕事に合わせて、どちらか取りやすい方が休暇を取って対応している。

ちなみに、両親以外に頼るのは1割で、そこにはベビーシッターや親戚、友人、自治体のファミリーワーカーなどが含まれる。

私が知る男性たちもよく、「子どもが熱を出したから」「子どもを病院に連れていかないといけないから」と言って突然休んだり、早退したりする。そんな時、周りは「大変だね。お大事に」とさらっと受け流す。決して、「奥さんは?」という人はいない。