「目についたものは、とにかくやる」だけでいい

私は、たとえば自動車なら、新たに電気自動車が登場したときに、真っ先に買って乗ってみるべきだと思いますし、自動運転技術が進化したら、積極的に新たな技術を搭載した車種に乗り換えたほうがいいと思っています。

すでに少し古い例になりつつありますが、たとえば決済サービスなら日本でも「LINEペイ」や「ペイペイ」などの決済手段がたくさん利用可能になっています。

「私は現金派」「スマホ決済はトラブルも心配だし……」などと考えて、いまだに使ってみたことさえないという人はいないでしょうか。

振り返ってみてください。LINEが登場したとき、コロナ禍でZoomが注目され出したとき、新しいSNSとしてクラブハウスが話題になったとき、みなさんは「真っ先に乗る人」だったでしょうか。

もしも「わからないから」「今のままで別に困っていないし」などと考えがちで、新しいものから距離を置く傾向があるなら要注意です。

「一体、今から具体的に何をやればよいのか」と戸惑う人には、「目についたものは、とにかくやってみろ」とアドバイスしたいと思います。

自分の周りをよく見てみれば、新しいサービスが次々に生まれていることに気づくはずです。日々使っているLINE一つとっても、たとえばインフルエンサー検索機能を試したことはあるでしょうか。LINE証券のサービスはどうでしょう? PayPay銀行と既存銀行の違いをどこまで知っていますか。

おそらく多くの人は、新しい機能を一つひとつチェックしたりはしていないのではないかと思います。しかし、こういった新しく生まれてくるサービス一つひとつをウォッチし続けることで見えてくる、トレンドシフトのポイントがあるものなのです。

ビジネスパーソンとしてチャンスをつかむためには、トレンドに敏感になり、自分が仕事をしているビジネス領域ではもちろん、それ以外についてもどんどんトレンドに乗っていくという姿勢が必須だと思います。

時代の変革を迫る事業を連発するイーロン・マスクの凄み

②一つの仕事にこだわるな

日本では終身雇用が崩壊したといわれるものの、「就職したら、できるだけ長く勤め続けるほうがよい」という価値観が根強く残っているように感じます。

何かを成し遂げるためには一つのことに集中すべきだと考え、「兼業」「副業」などに対しても「本業がおろそかになりそう」というネガティブな印象を拭えない人が多いのではないでしょうか。

そのような日本の感覚からすると、テスラ創業者のイーロン・マスクは、理解を超えた人物ということになるかもしれません。

テスラを上場させ、株価の上昇により個人で30兆円を超える資産を保有するまでになっただけでなく、宇宙開発企業のスペースXのCEOでもあり、ほかにもテスラ子会社のソーラーパネル会社ソーラーシティ、アメリカの都市をトンネルで結ぶ計画を打ち出すボーリング・カンパニーを手掛けるなど彼の事業領域は広く、その一つひとつが時代の変革を迫るような事業なのです。

写真=AFP/時事通信フォト
米実業家イーロン・マスク氏=2022年4月10日、アメリカ・ワシントン

ツイッター創業者のジャック・ドーシーも、ツイッターだけでなくモバイル決済事業会社スクエアを上場させて、一時は両社のCEOを務めていました。

このように、一つの会社に固執することなく何度も起業し、上場させ、当たり前のように複数の企業を経営している起業家たちの姿を間近に見るにつけ、これはやはりアメリカならではのダイナミズムだと感じますし、私自身、日本にいてはなかなか得られない刺激をもらっていると思います。