間違いなく戦争に近づいている
前述の通り、第二次世界大戦中には冬戦争と継続戦争と、ナチス・ドイツと組んで連合国側のソ連と戦った。ということは、当時のフィンランドは枢軸国。しかしその史実についてフィンランド人に問えば、「ソ連と組むぐらいならそれしか選択肢が無かった」という、大国に挟まれた国ならではの言い分を述べる。
その一方で1944年までソ連と戦ってきたフィンランドは、モスクワ休戦協定を結んだばかりに、今度はナチス・ドイツとも戦った歴史がある。たとえ相手が昨日までの味方でも、状況が変われば状況に従うまでだ。
相手が攻めてくるならば、対抗するのは当然の対応だ。だが、警戒心を持ちつつも、親戚友人もいることだし、良好な関係も続けたい――ロシアとはそんな関係でもある。
隣国ロシアに毅然とした態度を取ることで、フィンランドはより戦争に近づいているのは間違いない。
長男がロシアとの戦争に行くぐらいなら
赤ん坊だった長男が成人するまで暮らした第2の故郷フィンランドの最善を願わないわけではない。周りのフィンランド人も、さすがにロシアがフィンランドにまで攻め込んでくることは無いだろう、ロシア語話者がそれほど多くないフィンランドは手に入れる価値が無いはずだ、などという。
しかし、万が一フィンランドが戦争に巻き込まれ、長男がその前線に立たなければならないような事態となれば、彼はもう一つの祖国日本に逃れてほしい、などと願っている。
自宅アパートの核シェルターの場所を確認しながら、願いが現実にならないことを祈っている。