人の体温は約36℃ですが、皮膚の表面で薄い空気膜が作られます。その中で対流を起こすことで熱交換、温度調整、発汗調整をしています。そのためにヤケドしない、というメカニズムです。

人間は蓄熱体ですから体温が上昇し、調整機能にも限界があります。長い時間のサウナはかなり危険な状態と言えます。

低血圧状態で高まる脳梗塞、心筋梗塞のリスク

40度以上の温泉に入りながらウトウトと寝てしまうと、筋肉が固まり壊れる「悪性高熱症」となることがあります。

頻脈や不整脈、代謝性アシドーシス、血圧不安定、呼気炭酸ガス分圧上昇・低酸素血症などが出現します。その後急激な体温上昇(15分間に0.5℃以上、40℃以上の体温)が始まります。ひどいときは1、2時間も意識を無くしてしまう、致命的な症状にも陥ります。

まさかサウナの高温で眠ってしまうことはないでしょうが、温泉の2倍以上の高温ですから、絵空事ではない「サウナの高温のリスク」があることを肝に銘じておきましょう。

リスク② 超低血圧~高温で血管が広がった状態に

第2に、「血圧」の変動です。高温の空間に身を置くことで、血管が拡張するため全身の血流がよくなりますが、視点を変えれば血圧は低い状態になっているのです。

降圧剤(血圧を下げる薬)を飲んでいる高血圧の人は特に注意が必要です。

普段からクスリで血管を広げ、血圧を下げているところを、サウナの高温でさらに輪をかけて血管が広がってしまいます。収支血圧(=体の中の様々な仕組みの収支決算としての血圧)が極端に下がってしまいます。

心臓をとりまく冠動脈が狭くなっている方が、サウナでいきなり血圧を下げると、血管内で血液を送っている組織や細胞に血液が十分に供給されない状態(=虚血)を招きます。虚血は酸素不足とほぼ同じで、心筋梗塞を起こすリスクが高まります。これは脳でも一緒です。

血管内で進む“異常事態”

また、末梢血管が広がると、心臓の狭いところから先に血液が回りにくくなり、狭心症発作を引き起こす可能性があります。

高血圧症、冠動脈狭窄きょうさく症、狭心症の人がサウナに入るときには、できるだけ短時間で切り上げるなど、「超低血圧」に対する十分な注意が必要です。

リスク③ 脱水~「血管内脱水」で血管内はドロドロになる

第3に、「脱水」の危険です。個人差はありますが、サウナは1回で300~400cc相当の水分が失われると言われています。

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サウナ入浴を何回も繰り返し、一日で体重を2~3kgも落とす人がいます。これは本当にやせているのではなく「血管内脱水」を起こしているだけです。すなわち「血管内水分」が抜けているだけなのです。

このためサウナ後にビールを飲んだり、水分をたくさん飲んだりすれば、元通りに戻ります。真のダイエットとは言えません。