皆さん、日常まったく意識しないでしょうが、水やお湯につかると水圧が体にかかります。水の圧力は思った以上に強いものです。手術後の心臓には負担が大きいので、退院する患者さんには「お風呂はしばらく半身浴にとどめておいてください」とお勧めしています。
心臓や血管は「ととのう」の裏で悲鳴を上げている
3.血管内脱水を救うために、サウナ後には必ず水分補給を
心臓の血管(冠動脈)も脳の血管も2~3mmの太さです。多少の収縮は大丈夫ですが、それでも水分補給は必要不可欠です。ビールは利尿作用があるため水分補給にはなりません。水分を摂らずにギリギリまで汗を絞り、血管内脱水を起こしているにもかかわらず、ビールを飲んで脳梗塞で倒れるケースもあるからです。
気持ち良さが先行し、「ととのう」ことばかりが注目・強調されていますが、血管の中は別です。まさか「血管内水分」が蒸発しているとは誰も思わないことでしょう。そもそも「血液=水分」と認識している人はまずいません。
心臓や血管は気持ちいい発汗の裏で悲鳴を上げています。こまめな「水分補給」こそ命を守る生命線です。「血液には水分が満ちていて、サウナによる脱水で血液がドロドロになり、血管が細くなっている」ことを忘れないでください。(次回へ続く)
(聞き手・構成=医療・健康コミュニケーター高橋誠)