被害者の3分の2はAirTag犯罪に気づいていない

このような表示が出るのはiPhoneユーザー限定なので、Androidユーザー向けに「Tracker Detect」アプリもリリースされている。しかし、こちらもユーザーが自らアプリを起動して手動でスキャンする必要があり、実効性に乏しい。

米テックメディアMotherboardのレポートによると、米国で直近8カ月に報告されたAirTagによる犯罪は150件に上る。そのうち全体の3分の1に当たる50件は、iPhoneの通知によりAirTagで居場所を追跡されていることに気づき、警察に通報。そのうち25件は被害者の元パートナーや夫、上司など身近な男性が加害者だった。

写真=iStock.com/CribbVisuals
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つまり、残りの3分の2に当たる100件は気づくことができていないのだ。

正しく使えば盗難・紛失防止に効果的だが…

AirTagによって窃盗犯が逮捕される例も起きている。2022年3月、沖縄県恩納村の民家に忍び込んで現金17万円入りの財布を盗んだとして、18歳の無職少年が逮捕された。被害者が財布にAirTagをつけていたため、位置情報を基に容疑者の自宅を捜索し、逮捕につながったという。

兵庫県警によると、60代男性が車上狙いに遭ったケースでは、ゴルフバッグにAirTagをつけていたおかげで、盗まれたゴルフクラブ13本のうち12本が男性の元に戻ってきたという。

AirTagを正しく使えば、このように盗難防止や紛失防止に役立つ。しかし、前述のように悪用による事件も多発している。また、AirTagがストーカー規制法の対象となるかも判然としていない。

新しい技術やサービスは便利だが、悪用する人も出てくる。まだ対策は十分とは言えない状態であり、メーカー側でもっと対策すべきだろう。また、被害が増え続けるようであれば、GPS情報を悪用したストーカーを規制対象だと明示したように、法改正などの対応も必要なのではないだろうか。

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