子ども3人・年収上限600万円という謎基準

国の未来への投資である奨学金の給付において、子ども3人で年収上限600万円などという基準を設けるのは、おかしなことです。

子が多くても少なくても、親の所得が多くても少なくても、本人が優秀で学業意欲が高いならば給付対象にすればいいし、そうでないなら一般の貸与型でいいと思います。

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仮にこれが未来への投資ではなく、少子化対策ということであれば、ある程度の啓蒙効果はあるとは思いますが、これだけではあまりに中途半端です。

それこそ以前紹介したハンガリーのように、4人以上産んだら生涯の所得税ゼロ、保育料ゼロ、住宅購入補助金支給、新車購入補助金支給、学費ローン返済減免など、親の所得に関係なく「子を増やせばこんなにメリットがあるよ!」という広範な政策パッケージが必要でしょう(子なし世帯や独身・高齢者から不公平だという批判が出るので、票田を失いたくない今の政治家にはできないのですが)。

学問に適性がないなら貸与型で十分

一方、親がお金を持っていようとなかろうと、勉強がそれほど得意でない(あるいはそれほど熱意がない)人にまで税金を投じるのは、投資に対するリターンが低いと考えられます。

かつての私のように(私も貸与型でした)、進学意欲はあるけれどもさほど優秀ではない(勉学に適性がない)人間には、貸与型の奨学金で十分でしょう。

昨今は奨学金の返済に苦しむ人が増えていることから奨学金悪玉論に傾きがちですが、貸与型でも利子がない第一種がありますし、利子が付く第二種であっても金利は0.268%(令和3年度)と格安で、しかも無担保で15年とか20年間も借りられるという大盤振る舞いです(連帯保証人と保証人は必要)。

事業者の私から見れば悪質な学生ローンどころか、とても優遇されている制度だと感じます。